新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、緊急事態宣言が発令されて一ヶ月あまり。不要不急の外出は自粛を求められているため、どうしても家にいる時間は増えるが、捉え方を変えれば、これまで慌ただしく過ごしてきた日常生活を見直すチャンスともいえる。
朝、出勤直前までベッドの中で過ごし、夜遅く帰宅したら夜食もそこそこに力尽きて寝てしまう生活を続けていると、日常生活のひとつひとつの動作や手順、道具は、改めて目を向けて見ると奥深く、楽しみに満ちたものだということを忘れてしまう。家にこもるというのは、日々の暮らしをじっくり味わい、楽しむチャンスなのだ。
「暮らしを楽しむためには、お金も特別な才能や技術も必要ありません。必要なのは時間だと思います。」
YouTubeチャンネル「OKUDAIRA BASE」を主宰し、暮らし系YouTuberとして日々の暮らしを発信し、14.8万人(2020年4月30日現在)の視聴者を抱える奥平眞司さんは、どんな人でも時間さえあれば生活を楽しむことができるとして、著書『OKUDAIRA BASE 自分を楽しむ衣食住: 25歳、東京、一人暮らし。月15万円で快適に暮らすアイデアとコツ』(誠文堂新光社刊)で、日々の暮らしをワクワクするものに変えるコツを明かしている。
ポイントは「家事をうまくこなすためのコツ」ではないということ。細かいところまで意識を向けて、自分好みに塗り替えていけば、家事は決して「面倒なこと」ではなくなるのだ。
そのとりかかりとして、たとえば「道具」や「物」に目を向けてみるのもいいかもしれない。
料理であればフライパンや鍋などの調理器具に食器類。ベッドやイス、ハンガーや鏡など、普段私たちが何気なく使っている物はどれも、それぞれに特色と性能が違う別個のもの。これを機に、徹底的に調べて情報を集め、「これぞ」という品を見定めて使ってみるのもいい。
「これでいいや」ではなく「これがいい」で選んだ物には、愛着がわく。その道具を使って料理をしたり、食べたり、眠ったり、洗濯をしたりするのが楽しみになる。手入れをしながら長く使おうという気にもなる。そうなったらもう、あなたは生活を楽しんでいる。
いつも使っている家電類は、時間がない人向けに、できるだけ短時間で必要な作業がこなせるようにできている。でも、今は「1分でも短く」を追求する必要はない。あえて不便を選んでみるのも一興だろう。
いつもは炊飯器の「速炊」にしているのをやめて、土鍋でご飯を炊いてみると、同じお米なのに味が違うことに気づくかもしれない。普段はできあいの出汁を使って作っていた味噌汁を、カツオや昆布でいちから出汁をとってみると、これまでとは違った発見があるかもしれない。ちょっとした変化かもしれないが、ちょっとした変化を敏感に感じとることが、毎日を楽しむということなのだ。
◇
外に出られないなら、家の中で楽しみを見つければいい。その楽しみとはゲームをしたり映画を見たりすることとは限らない。
「生活」そのものだって、立派な楽しみだし、きっと今だからこそできることなのだ。
(新刊J P編集部)
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