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カクヨムから生まれたデビュー作「魔法で人は殺せない」は今後どうなるか

  • 書名 『魔法で人は殺せない』
  • 監修・編集・著者名蒲生竜哉
  • 出版社名幻冬舎

サスペンスとコメディの融合、ミステリとS Fの融合、などジャンルを超えたり掛け合わせたりしてできる作品が小説でも映画でも、漫画でも存在する。

様々なジャンルの魅力を、互いが互いを相殺することなく共存させるのが、この手の作品においての作者の腕の見せどころ。『魔法で人は殺せない』(蒲生竜哉著、幻冬舎刊)はクロスジャンルの魅力が楽しめる小説集だ。

19世紀のイギリスと思われる舞台で、魔法を使った殺人事件が発生。主人公は、その「魔法」が残した痕跡を追って真相の究明を急ぐ。ミステリであり、ファンタジーでもあるこの作品。キーワードとなるのは「魔法をいかにミステリに組み込むか」である。今回はこの作品の成り立ちについて、作者の蒲生竜哉さんにインタビュー。後編はこの先の展開について教えていただいた。

■カクヨムから生まれたデビュー作「魔法で人は殺せない」今後の展開は

――主人公のダベンポートやメイドのリリィ、カラドボルグ姉妹など、それぞれキャラクターの立った印象的な登場人物が出てきます。思い入れのあるキャラクターについて教えていただきたいです。

蒲生:やはりリリィですかね。"看板娘"なので。それもあって「コミックマーケット98」で販売するようにリリィのクリアファイルを作ったのですが、中止になってしまって......。

――それは残念......!

蒲生:どうしたものかなと思っていますが、まあそのうち配ったり売る機会はあるかなと思っています。リリィについては今後も活躍すると思うので楽しみにしていていただきたいです。

――ダベンポートとの関係が気になります。あと、素性も謎ということで、モヤモヤします。

蒲生:それはまだ秘密です。今回の本には収載されていないのですが、カクヨムの方に彼女のおばあさんが亡くなる話があって、そこで素性が明かされています。気になる方はぜひ読んでみていただきたいですね。

――「魔法で人は殺せない」のシリーズはまだ連載が続いているんですよね。

蒲生:そうですね。十九話まで出ていて、今二十話を書いているところです。

――今後の展開も気になるところです。

蒲生:元々かなり血なまぐさい話なのですが、カクヨムに連載する過程で読者の方からいただいたコメントを見るとあまり女性に評判が良くなくてですね、ちょっと穏やかにしようかなと思って、バランスを考えて書いています。

「魔法で人は殺せない」というこの本の表題作は相当に血なまぐさいのですが、第二話の「灰は灰に、猫はメイドに」はそんなに凄惨な場面がない話、第三話ではメイドのリリィのほんわかした話になっています。そうやって三つのサイクルを回している感じですね。だから3の倍数の話はリリィの話なんです(笑)。

――他の作品を書いてみたいという気持ちがあったりもするのでしょうか。

蒲生:今は「魔法で人は殺せない」一本なんですけど、元々サイバーパンクのファンだったので、このジャンルの作品もいずれは発表したいなと思っています。

――今回の作品が初めての書籍化ですが、小説執筆にかなりブランクがあったともお聞きしました。執筆を再開されたきっかけは何でしたか?

蒲生:社会人になって初めて勤めたのが激務で知られる会社だったんです。とにかく忙しかったですし、途中5年間は海外駐在していたりもして、なかなか書く時間が取れなかったのですが、転職して少し時間ができたので、昔書いていた小説のデータを引っぱり出して、それをもう一度書き直してみたのがきっかけでしたね。

――ブランクがあってもまた書こうと思えるのは、小説への強い気持ちがあったからだと思います。これまでどんな小説に影響を受けてこられたのでしょうか。

蒲生:アクションものが好きだったんですよね。名前を出すならA .J .クイネルの『燃える男』がある「元傭兵クリーシィ・シリーズ」は、かなり重い小説なんですけどよく読みました。クイネルが来日した時にサインをもらいに行ったくらい好きですね。

あとは、先ほど話に出たラリー・ニーヴンの「魔法の国が消えていく」のシリーズと「ノウンスペースシリーズ」の二つは好きです。

――最近読んで面白かった本についても教えていただきたいです。

蒲生:川原礫さんの『ソードアート・オンライン』は面白かったです。お話だけでなくてヒロインの女の子のキャラクターがすごく人気ですよね。シリーズ全部読みました。

――最後になりますが、読者の方々にメッセージをお願いいたします。

蒲生:ちょっと異色なファンタジーとして楽しんでいただけたら嬉しいです。ミステリとファンタジーが混じっている小説は珍しいと思いますし、ファンタジーだからといってミステリの部分は手を抜いたということもありません。

コアなミステリファンの方が読んでどう感じるかはわからないですが、一般的なミステリ読者なら楽しんでいただけると思っています。ファンタジーのファンの方もミステリのファンの方も、両方のファンの方も、ぜひ読んでいただきたいですね。

(新刊J P編集部)

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