外出自粛の影響で、自宅にこもりっきりのお年寄りの運動不足が懸念されています。
日本老年医学会が3月13日に発表した資料によると、外出自粛でお年寄りがほとんど動かない状態(生活不活発)になり、筋力が大幅に低下。フレイル(虚弱)の状態になる恐れがあるとのことです。2週間寝たきりの状態で失われる筋肉量は、自然な状態だと7年間で失う筋肉量に匹敵すると警告しています。
政府の緊急事態宣言がどの程度続くのか、混とんとした状況で、何の対策も行わないままでは、お年寄りの筋力、体力は確実に奪われていきます。
特に心配されるのが「足」の筋肉。人間の筋肉の7割が下半身に集中しているといわれており、足の筋力低下は、歩行困難へとつながります。
歩行困難は、日常生活に支障をきたすのはもちろん2次的な被害も誘発します。群馬県の中之条町で、65歳以上のお年寄りおよそ5000人を対象に実施された調査によると、健康を維持するためには1日約8000歩以上あるくことが必要という結果が出ました。
裏を返せば、日々、きちんと歩くことが健康増進につながります。5000歩以上なら認知症や脳卒中、7000歩でガンや骨粗しょう症、8000歩で糖尿病や高血圧の予防に効果があるとも言われています。外出自粛で、仮に新型コロナウイルスへの感染が防げたとしても、その代償が筋力低下による歩行困難となると、高齢者の健康を損なうことになりかねません。
そうした事態を防ぐ手立てとして、日本初の足の総合病院「下北沢病院」の菊池守院長が提唱するのが「スタスタ体操」です。足の筋力や柔軟性を保つための体操で、菊池院長が3万足の足を診察してきた経験に基づき考案しました。
菊池院長の著書『足の専門医が教える 100歳までスタスタ歩ける足のつくり方』(アスコム)によると、スタスタ体操は1日5分程度、足を伸ばす、縮めるという動作で構成された簡単な体操です。
①壁ドンふくらはぎ伸ばし
②足首サッサ
③足裏そらし
こうした体操で、これまで車椅子に頼るほど歩行が難しかった人が歩けるようになったケースがあるなど、その効果は折り紙つき。いわば、足が若い状態に戻るイメージです。
外出自粛が続くなかでも、健康と体力を維持するために、ぜひスタスタ体操を取り入れてみては、いかがでしょうか。
(新刊J P編集部)
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