AV男優のトップランナー・しみけんさんが、ついに「仕事論」をタイトルにした本を出版した。その名も『AV男優しみけん仕事論0.01 極薄!』(扶桑社刊)だ。
実は本書、5年前に発売されて大きな話題を呼んだ『AV男優しみけん ~光り輝くクズでありたい』と同じ扶桑社からの出版で、まさに5年ぶりの「続編」であり「アップデート版」ともいえる一冊だ。
もちろん、この「仕事論」から読んでOK。AV男優の仕事、AV現場の裏話、性の不思議、そしてしみけんさんの仕事論と、とても濃厚な内容となっている。
今回はしみけんさんに新刊JP編集部が直撃!
5年前と比較しての仕事の変化から、しみけんさんの仕事術などについてお話を聞いた。
(新刊JP編集部)
――『AV男優しみけん仕事論0.01 極薄!』は、5年前に出版された『光り輝くクズでありたい』と同じ扶桑社さんから出版されています。この5年間の変化、ご自身の成長について感じることはありますか?
しみけん:成長したというよりは、より人間っぽくなったかな(笑)。5年前に『光り輝くクズでありたい』の執筆の話をいただいたとき、頭の中は「チ●コマ●コ」だけで、お猿さんに近い感じでした。でも、この5年間でAV以外のお仕事もさせていただくようになって、その影響が本に出ているのかなと思います。良い意味で少し理性的になったなと。
――変化といえば、「あとがき」の謝辞に、前作は「はあちゅうさん」と書かれていたのが、今作では「カミさん」と書かれていましたね。
しみけん:そうなんですか!? (ゲラを見て)あ、本当だ、「カミさん」って書いてある。これは自然に書いちゃってます。なんせ夜中3時に書き上げて送っているので(笑)。もう毎回ギリギリで送っていました。
――〆切に追われながら。
しみけん:でも、僕は「まだですか?」って追われながら書くのが好きなんですよ。これは漫画家の鳥山明先生が、担当編集のマシリトさん(鳥嶋和彦さん)に「まだですか!?」って詰められながら原稿を書き上げるというよもやま話に憧れがあって、わざとやっている節があるかもしれないです(笑)。『週刊少年ジャンプ』黄金世代の人間ですからね。
――先ほど「理性的になった」とお話しされていましたが、4章の「どの世界も同じ? AV男優の仕事論」で語られている仕事に対する考え方は、働く人すべてに通じることが書かれているように思いました。
しみけん:それまではAV業界しか知らなかったけれど、この5年間でAV以外の業界にも携わるようになって、講演会やイベントにも出演するようになりました。
その中で、「しみけんさんの本を読みました」っていう声をいただくと同時に、悩み相談をされるんですよね。そして、悩みを聞いていると、解決法が意外とAV業界で培ってきたものと同じだと思ったんです。
それをまとめたのが、この本の4章に書いた「6つの行動習慣」です。
――その悩み相談は、性の悩みだけではなく?
しみけん:そうです。人間関係の悩みが比較的多い気がしますね。
AV男優という仕事は、相手の女優さんとベッドの上から男女関係がスタートします。本来の男女関係って、知り合って、デートを重ねて、気を許して夜を共にしましょうとなって、ベッドに入るわけですが、僕らAV男優はそのプロセスをベッド上でギュッと完結しなくちゃいけないんです。その「ギュッ」とする方法をどうしたらいいのかずっと考えてきた結果、相談を受けても何かしらの答えが出せるようになりました。
――いろんな人の悩みを受けていて、思うところはありますか?
しみけん:結構みんな悩むのが好きなんだなあと(笑)。趣味が悩むことっていう人が多いんですよね。逆に悩まない人は全く悩まない。そして、悩みを相談してくる人は新しい悩みを作ってくるんですよね。これは0か100かって感じです。
――これまでたくさんの監督や女優さんとお仕事をされてきた中で、「この人は成功するな」と感じる人の共通点ってありますか?
しみけん:これは好奇心ですね。好奇心の尖り方が素晴らしい人。「なんでそこを深掘りしたの?」と思うような人がいるんです。
性の話ならば、コンニャク芋を3年かけて栽培して、コンニャクでオナホールを作った人。すごくないですか? コンニャクって種から作ると3年かかるんだ、という感動とともに、なぜそこを深掘りしたのだろうって思いませんか? そういう人はすごく魅力的ですよね。あとは、マ●屁の吹き分けができる女優さんもいます。そこを極めるかー!と。僕はそういう人が大好きなんです。
――では、しみけんさんから見て、仕事がしやすい人ってどんな人ですか?
しみけん:コミュニケーションを取ろうとする気持ちがある人です。逆にしゃべりかけても、スマホをずっといじっていて、好奇心の矢印が自分に向いていなかったりすると、矢印をこっちに向かせるにはどうすればいいのだろうとあれこれ考えますね。
――ただ、女優さんの中には好奇心の矢印がしみけんさんに向かない人もいるのでは?
しみけん:たくさんいますよ。話しても全然ダメだったら、体で分かってもらうべく「しみクンニ」を繰り出します。
――多くの女性が「これまで経験した前戯No.1」と言った究極奥義「しみクンニ」を!
しみけん:ただ、それでもダメなときがあるんです。最後まで諦めずに手を打って、なんとか心をこっちに向かせようと頑張って、それでもダメなときは仕方ない。「俺にできないことは他のやつにもできない」、そう思っています。
――ちょっと話は変わりますが、この本ではここ数年のAV撮影現場の変化についても書かれています。撮影の中でもかなり縛りやルールが厳密化されてきているのだなと思いました。
しみけん:強要問題とオリンピック誘致で、AVの世界にも新しいルールができました。この本では「トンデモルール」として6つ書いています。
ただ、ルールができることで、それまで出来ていたことが出来なくなることもあるけれど、逆に新しいものを生み出すきっかけにもなると思うんです。
今では笑い話ですけれど、凌辱がNGになった時期があって、その結果何が生まれたかというと、女性が寝っ転がった男性に乗って、男性が下から「もっと腰動かせ!」とか言うシーンなんですよ。
やっている側からすると「なんだこれ」って思うんですけど、それはそれで楽しいとも思うんですよね。で、後で「これアホっぽいですね」って気づく。そういう風に試行錯誤していくんです。
ルールが厳しくなっても、その中でどう自由に発想するか考えれば、楽しめると思います。
――なるほど、制限される中で楽しみを見つけるというか。
しみけん:しんどさはあるかもしれないけれど、しんどい時ほど後で笑い話になるじゃないですか。乗り越えられるか分からないけれど、乗り越えられたら笑えるよね、と。
(後編に続く)
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