会社員として働くかたわら、細々と株をやっている人は多いはず。そして、その中には利益が出ている人も、そうでない人もいるだろう。
もし、株で継続的に利益を出したいのなら、「株を安い時に買って、値上がりを待つ」スタイルだけではうまくいかない。『株の「カラ売り」で堅実に稼ぐ! 7つの最強チャートパターン』(日本実業出版社刊)はそんなことを教えてくれる一冊だ。
トレーダーである著者の冨田晃右氏がこの本の中で明かしているのは、信用取引の一種である「株のカラ売り」の手法。「リスクが大きい」など、あまりいいイメージを持たれていない「カラ売り」だが、なぜ今この手法なのか?そして、株の売買で安定して収益を上げるにはどうすればいいのか?ご本人にお話をうかがった。
冨田:誰が言い出したのか、そういうイメージが定着していますよね。カラ売りは信用取引ということでレバレッジを利かせられるため、自分の身の丈を超えた額の売買をやってしまいやすいというのは確かにあります。
また、カラ売りは「対象企業の株価が上がると損をする」という性質のものです。下がるぶんには0までですが、上は天井がありませんから、ロスカットをしないと損失がどんどん膨らんでしまう。
冨田:おっしゃる通りで、カラ売りそのものに問題があるわけではありません。カラ売りに限らずレバレッジの高いFXなどもそうですが、それ自体が危ないわけではなくて、リスク管理がなっていないということなんです。商品や取引の種類→取引の種類や投資商品のせいにしてしまうのはちょっとおかしいと思いますね。
付け加えるならば、株価には上がることへのバイアス(偏見)があるんですよね。「株は買ったら上がるもの」という思い込みといいますか。社会や経済や個々の企業は成長していくだろうという考えを大前提的に持っている人が多い。
冨田:はい、出せます。株の売買は究極的には「株価が上がるか下がるかを当てるゲーム」です。「買い」では、これから値上がりすると思う株を買って、カラ売りでは値下がりすると思う株にカラ売りを仕掛けるというだけの話で、カラ売りが現物株の買い取引よりも難しいということはありません。
冨田:年配の方に多いのですが、高度経済成長からバブル経済へと日本経済が右肩上がりだった時期のイメージが強いんでしょうね。国や社会がそういう風に刷り込んでいるということも言えるのですが。株は結局上がるものだと・・・
冨田:一般的に株の売買をする方は、個々の銘柄の中からいいと思ったものを買うわけです。それは決してまちがったことではないのですが、もっと大きな株式市場全体の流れを見て、そこに乗っていかないと継続的に利益を出すことは難しいということをお伝えしたかったんです。
日本には日経平均株価やTOPIXといった市場全体の動向を表す指標がありますが、これが上がってくると、個々の銘柄も引っぱられて上がります。逆に下がっている時は自分が選んだ銘柄がどんなに良かったとしても下がりやすいんです。これがわかっていない人が案外多いんですね。
冨田:株の相場には上げ下げのサイクルがあって、何年間かは上がって、その後何年間かは下がるというのを繰り返しています。私は「10年~12年でひとサイクル」と考えていて、相場の天井から天井までが10年から12年、底から底もそのくらいだと考えています。
それを踏まえると、2008年リーマンショックで暴落する直前の2007年の天井から数えて12年目です。そういう時期的なことからしても、今の上げ相場がそのまま続くとは考えにくい。もちろん明日からすぐに下がるという話ではないですが、ずっと上がり続けるはずはないので、相場全体が下がり始めた時のことも考えて、カラ売りの方法を今のうちに学んでおくと、いざという時にうまくいきやすいですよ、ということで今回の本を書いたんです。
冨田:はい、相場全体の流れに逆行しているという意味ではいい選択ではないと思います。もちろん上がる銘柄がわかるなら買うべきですが、そうはいきません。例えばですが、仮に上げ相場の時に100銘柄中50銘柄上がるとしたら、下げ相場の時にはそれが10銘柄くらいになったりします。そのくらい個々の銘柄は、全体の流れに引っぱられるのです。下げ局面の時に買いで入るなら、相当いい銘柄を見つけないと難しいと思います。
冨田:そうです。相場全体が上昇時であれば、銘柄選択で少々下手なことをしても放っておいたら株価が上がって利益が出るということも起こるのですが、下げ局面ではなかなかそうはいきません。だから、下げ局面に合わせた株売買のスキルを身に付けた方が、継続的に利益を出しやすいと考えています。
(後編につづく)
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