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会社を辞めて独立する前に絶対やるべき下準備

  • 書名 『会社を50代で辞めて勝つ! 「終わった人」にならないための45のルール』
  • 監修・編集・著者名高田敦史
  • 出版社名集英社

終身雇用制度が崩壊し、大企業が早期退職者を募ることが珍しくなくなった今、企業側が特に「50歳前後以降」の社員に対して「自主的に辞めてほしい」と考えている現実が垣間見える。

この状況で、50歳以降のビジネスパーソンはどのように働いていけばいいのだろうか。年々居心地が悪くなるのに耐えて定年まで働き続けることが苦にならないのなら問題ない。しかし、そうでない人は?

『会社を50代で辞めて勝つ! 「終わった人」にならないための45のルール』(集英社刊)は、この年代のビジネスパーソンに向けて、会社を辞め、独立してフリーランスとして生きていくという働き方を提示する。今回は著者の高田敦史さんに、この生き方が可能な人と会社に残った方がいい人の違いや、会社を辞める前にやるべきことなどをうかがった。その後編をお届けする。

■50代の独立 強みと懸念点

――独立するにあたって不安はなかったですか?

高田:不安はいつもありますよ。独立した当時もありましたし、今もあります。独立した最初の年は「会社員時代の年収の半分ぐらいは稼ぎたいけど、もしそんなに稼げなかったらどうしよう」という不安がありました。もし、ダメだったら顧問派遣会社に登録して、月10万円とか15万円でも顧問料をもらって食べていくことを考えていたのですが、結果的に初年度は思っていたよりも稼げたんです。

だけど、それで不安がなくなるかというとそんなことはなくて、今57歳なのですが65歳まで今と同じくらい仕事が入ってくるかな、とかは考えますしね。会社に残っていれば少し給料は下がるかもしれないけど、お金は稼げるじゃないですか。ただそれを考え始めると何もできないですからね。

――先の不安は独立して軌道に乗った今でもあるんですね。

高田:ただ、この不安って大したことはないんですよ。少なくとも若い方がゼロから起業するような本当にチャレンジングなことをする時の不安とは違います。

大企業にいる50代であれば、退職金をほぼ満額どころか、早期退職の積増金をもらえる会社もありますし、厚生年金もほぼ満額もらえる。それなりに蓄えもあるはずです。独立して万が一失敗したって路頭に迷うことはないんですよ。だからこそ、いつまでも会社にしがみつくのではなくて、役職は若い人に譲ってチャレンジしましょうよと言いたいんです。

会社に残っていれば、給料は減るけど役職や肩書は残してくれることもあって、世間体はいいですよ。でも、人間世間体で生きるわけじゃないですからね。

――独立した後に味わった挫折や苦労がありましたら教えていただきたいです。

高田:私は幸い挫折という挫折は今のところないのですが、サラリーマンというのは案外世の中のことを何も知らないんだなということは感じました。

税金のことや社会保険のこともよくわかりませんでしたし、大企業にいましたから事業をどうやって始めるのかもわかりませんでした。そういうことを一つ一つ調べたり人に聞くというところからのスタートでした。ただ、人を雇っての起業ではなく、個人事業主としての独立ですから、そんなに難しいことではないというのはお伝えしたいです。どちらかというと重要なのは「独立してやっていく勇気とそれなりの実力があるのか」ということの方です。

――そこは多くの人が不安なはずです。

高田:私もそうでした。ただ、自分の商品価値に本人が気がついていないというケースは案外少なくないんです。そこは、一度周囲の人に相談して客観的な評価をもらうなどして確認してみた方がいいと思います。

――辞める前に、ですよね。

高田:そうですね。もちろん、辞めずに会社に残った方がいい人もいます。直感的に言うと、7割か8割の人は辞めない方がいい。ただ、残りの2割くらいの人は独立してもやっていけるだけの能力があると思います。

2割だとしてもすごい数じゃないですか。それだけの人がせっかく世間に出られるのに、会社から「終わった人」だとみなされながら65歳まで在籍しつづけるというのは大きな社会的損失でしょう。

――フリーランスになった後、自分が仕事でいくらとるかという「自分の値段」の付け方も難しいと感じました。

高田:会社員時代の年収を基準に決めればいいのではないかと思います。たとえば1000万円もらっていた人であれば、年間200日稼働するとして日給は5万円です。
独立後に「月に4回相談したい」と言われたら、月間の契約は20万円とです。打ち合わせ自体は一回2時間程度でもその準備も含めて考えればいいと思います。
ただし、大事なのはその値段にこだわりすぎないことです。

どういうことかというと、相手方は頼む仕事の対価を、商品力やサービス力ではなくてその時の都合で決めるんです。例えば「講演は1回10万円で受ける」と決めていたとしても、相手方が「うちは社内の規定で1回3万円と決まっているんです」ということなら、3万円でやればいい。逆に「15万円でどうですか」と言われたら、もちろんわざわざ「いや10万でやります」と言う必要はありません。そこは、値段を決めつつも柔軟にやるべきでしょうね。

――フリーランスで生きていける人の特徴を教えていただきたいです。

高田:何かの分野のエキスパートであることは必須でしょうね。ただ、その専門分野に商品価値があるかどうかはまた別の話ですから、辞める前にあちこちに打診して反応を見ておいた方がいいと思います。

また、今後は古巣の会社から仕事をもらってやっていくというケースも増えてくるはずです。あとは、会社員時代の取引先もそうです。独立を考えているのなら、今務めている会社の周辺で仕事をくれそうなところに当たりをつけておくことが必要です。

――会社員時代の取引の周辺に身を置くというのは大事かもしれませんね。

高田:大事だと思います。私の知る限り、フリーランスになった人はほとんどそこで食べていますから。まずはそこでベーシックなインカムを得られる状態にして、手を広げるならそこから少しずつ広げていくというのが、成功しやすいやり方だと思いますね。

――逆に独立しないで会社にいた方がいい人はどんな人ですか?

高田:専門性を持たず、企業の大きさと役職だけで仕事をしている人でしょうね。こういう人は独立しない方がいい。

――最後になりますが、50歳前後という年齢にいる方々にメッセージをお願いいたします。

高田:会社を辞めて、組織に縛られず自分らしく生きるという選択肢をはじめから排除している方はたくさんいると思います。それはすごくもったいないことです。

実際に会社を辞める辞めないは別にして、自分がフリーランスとして生きていけるのか、周囲の人に聞けば自分で気づかなかった可能性が見えることもあります。ぜひ、自分の可能性について検討したうえで、今後の生き方を選んでいただきたいですね。そのために、今回の本は役立つのではないかと思っています。

(新刊JP編集部)

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