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成功者たちが頼る「運」という力 その正体とは...?

  • 書名 ビジネスエキスパートがこっそり力を借りている日本の神様
  • 監修・編集・著者名道幸龍現
  • 出版社名サンマーク出版

普段の生活の中ではあまり意識することはありませんが、私たちにとって神道や仏教といった信仰は人生の奥深くに根付いています。

お正月には初詣に行き、結婚式はチャペルで挙げ、葬式はお寺で行う。全てに神様がいて、多様な文化や信仰を受け入れながら日本独自の信仰を作り上げてきたといっても過言ではありません。

そんな日本の神様から力を借り、日本古来のフルパワーを使うことが成功するために必要だと訴えるのが『ビジネスエキスパートがこっそり力を借りている日本の神様』(サンマーク出版刊)を執筆した神道家の道幸龍現さんです。道幸さんは神道家でありながら、ビジネスプロデューサー、ブランドコンサルタントとしても活動しています。

本書は神道や仏教をはじめ、古神道や修験道など日本の重層信仰を説明しながら、日本人が大事にしてきた「成功法則」を教えてくれる一冊。
今回は著者の道幸さんにお話をうかがい、神仏に頼ることの大切さについて語っていただきました。

(新刊JP編集部)

■成功者はどのようにして神仏のパワーを借りているのか?

――『ビジネスエキスパートがこっそり力を借りている日本の神様』についてお話をうかがっていきます。本書は神道、仏教、そして古神道に至るまで日本人の信仰の力について書かれていますが、道幸さんが「神道家」として神道を意識されたきっかけから教えてください。

道幸:27、28歳のときに当時まだ結婚前だった妻に熱田神宮に連れて行ってもらったんです。それまでは神社も神道も全く興味はなかったのですが、熱田神宮は草薙剣をご神体とされていて、すごく感じが良くてリラックスできたんですね。その翌年には伊勢神宮に行き、神社にどっぷり浸かっていきました。

――それが道幸さんと神社のつながりの始まりですか。

道幸:はい。その後、妻と結婚しまして世田谷区に住むのですが、そこには吉田松陰を祀る松陰神社があります。子どもの七五三などはそこに行っていたのですが、幕末期の人物でも神様として祀られるということに強い興味が惹かれまして、神社や神道について勉強を始めました。

――本書には「成功者は神仏のパワーを使っている」というところで事例もあげられています。

道幸:私は経営コンサルタント業をしているので、経営者とお話することが多いのですが、実際に神社や寺院を大事にされている方が多いですね。また、クライアントの方から「突き抜けた経営者は神社や神様を大事にしている」という話をうかがって調べてみると、松下幸之助は伊勢神宮の崇敬会会長でしたし、出光佐三は宗像大社を崇敬していました。確かにそうだと。

――「神頼み」という言葉だと、非科学的なイメージを持ちます。道幸さんは「超現実主義」から神道家への道に入るわけですが、ビジネスという合理的な考え方が要求されるフィールドにいる人が神仏に頼るのはどうしてなのでしょうか。

道幸:自分自身は経営コンサルで数字が最も大事だと思ってやっきましたけど、20年仕事をしてきて気づいたことは、マーケティングは7割、そして3割は目に見えない力が大事ということなんです。それが信仰であり、日本人でいえば神仏なのかなと。

この割合は人によって異なるのでしょうが、成功している人は神仏の力を無視していません。箱根神社(九頭龍神社)の玉垣には長嶋茂雄さんや秋元康さんの名前があります。箱根神社は龍神で有名ですが、彼らは龍神と縁があるということです。

――松下幸之助は「運」を大事にされたそうですが、その「運」というのは神仏のパワーと考えても良いのでしょうか。

道幸:私自身はそう捉えています。松下幸之助は先ほど言ったように伊勢神宮を崇敬していましたし、浅草の浅草寺にも奉納しています。また辯天宗への信仰も有名ですよね。そういう意味では彼は神仏オタクだったのだと思います。その結果、「経営の神様」と彼自身が呼ばれるようになった。

――成功者はどのようにして神仏のパワーを借りるのですか?

道幸:そういった方々はお金と時間を割いていますよね。松下幸之助や出光佐三以外にも西武グループの創始者である堤康次郎は箱根神社を崇敬していました。

神社にお参りに行く時間は無駄だと考える人もいるかもしれないけど、そうではないんです。時間とお金を割くことで、「自分は守られている」という感覚を身に付けられます。もしくは「応援されている」と言ってもいいかもしれない。

実際、松下幸之助は「経営の神様」と呼ばれていますが、それは神様に一番好かれたから。そして、神様が松下幸之助を通して国民の生活を豊かにしている。それが「三種の神器」と呼ばれるテレビ・冷蔵庫・洗濯機だと私は考えています。

■日本人は「受け入れる力」があるからこそ強い

――本書は神道だけでなく仏教や龍神などについても触れています。こうした様々な信仰を網羅的に取り上げているのはなぜですか?

道幸:それは日本が神仏習合の国だからですね。お正月は神社に行きますが、葬式は寺院であげます。エネルギーの違いはあるけれど、日本ではそれらが混在しているのが特徴ですよね。さらに神道と仏教と道教が結びついて山岳信仰となり、修験道として信仰された。こうして信仰がブレンドされていくのが神仏習合です。

――なるほど。

道幸:ただ少しネガティブな点もあって、それは日本人の無宗教感を生み出す土台になっているのではないかということです。信仰は一つに定めるべきだという意識が強いと、神仏習合をにわかには理解できません。海外で仕事をしていると宗教観を聞かれることがありますが、神仏習合や重層信仰を伝えるのは難しいでしょう。その意味でも本書を読んでほしいと思って書きました。

――すべてに神様がいるという感覚は日本人ならば生活意識の中に溶け込んでいますからね。さらにクリスマスも祝うなど、いろんな宗教の風習を取り込んでいる。

道幸:重層信仰は特殊ですよね。ただ、それって日本人特有のアイデンティティなんですよ。どんなものでも受け入れて自分たちなりにアレンジできる強さを持っている。フィリピンはキリスト教国ですが、それ以前には土着の神を信仰していました。日本でも実は戦後、国家神道が解体され、信教の自由が保障された際に聖書が1000万冊配布されたと言われていますが、それでも神道も仏教も残ったわけです。

日本人は無宗教ではなく、どんなものも受け入れる「重層信仰」だと私は考えています。それが実は様々な技術を受け入れて改良を重ねていくという日本の強さを生み出す土台になっているように思うんですね。

――その強さというのが、日本のアイデンティティ。

道幸:そうですね。重層信仰を知ることは、すなわち日本人にとって必須の教養であり、アイデンティティなんです。この2つは本書のキーワードだと思います。

――アイデンティティを持つことは成功するためにも必要と。

道幸:それを持つだけでセルフイメージが上がりますからね。プルデンシャルという生命保険会社は、営業に「ライフプランナー」という名称をつけました。こうすることでセルフイメージが上がって、「自分がお客様の人生設計をサポートする」という使命が生まれますよね。これがアイデンティティになる。そうすることで業績を伸ばしたわけです。

――アイデンティティがあれば、それに従って積極的に行動できます。

道幸:そうですね。自信がつきますし、少しスピリチュアルなことを言うと、神様がヒントをくださるんです。判断するときに「あっ、こっちだな」と直感が走って欲を超えた正しい判断ができるようになるわけですね。

(後編に続く)

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