怒るほどのことではない。いちいち反論する気もない。相手に悪気がないこともわかっている。でも、心がもやもやする。そんな経験が誰にでもあるはず。
たとえば、髪型を変えてイメージチェンジをしたら、友達に「前の髪型の方があなたらしかった」と言われたとしたら?または、転職をして生活を変えたら「前のあなたの方が幸せそうに見えた」と言われたら?
「大きなお世話だよ」と言い返せる人は、きっと強い人。でも、言い返せないまま悶々と自省してしまう人も少なくないはずです。
髪型にしても、仕事にしても、身になじむには時間がかかります。まだ新しいスタイル、新しい生活が始まったばかりなのに「前の方が良かった」と言ってくる人は「待てない人」。
どんな変化でも、本人は「より良い自分」を目指してやっているはずです。そこに「変わる前の方が良かった」というのは、傷つけるつもりはなかったにせよ、気持ちのいい言葉ではないはず。こういう「待てない人」の言葉に惑わされるのは損。たとえ大事な友達からの言葉であっても、「変化したい」という自分の欲求を大事にしたいものです。
「個人的には〇〇だと思う」は、集団の意見に対して自分の意見が異なる時に使う言葉。だけど、この「個人的には」を、人にダメ出しをする時の免罪符のように使ってくる人もいます。これもなんだかもやもやしてしまう言葉ですよね。
「個人的には靴はもっとちゃんとしたものを履いた方がいいと思う」と服装や靴にダメ出ししてくる人を見ると「別にあなたの個人的な意見は聞きたくないし・・・」と思ってしまいます。もしかしたら本当に自分のためを思って言ってくれているのかもしれないと思うと「大きなお世話」とも言えないから、もやもやは心の中にしまっておくしかありません。
おおがきなこさんによるマンガ『今日のてんちょと。』(セブン&アイ出版刊)では、こうした小さなもやもやを抱えた人が、舞台となる「こはぜ珈琲」にやってきます。彼ら、彼女らの話を聞くのは、この店の店長。お客さんの愚痴や悩みを聞いても、決して無理に励ましたり、上から目線で解決法を伝授したりするのではなく、絶妙な相槌やさりげない一言で相手の心を軽くほぐしてしまいます。
相手の何気ない一言でもやもやしてしまうことは、誰の生活の中にもあるはず。あなたのもやもやも、もしかしたらこの本の中で描かれているかもしれません。
(新刊JP編集部)
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