「理系」の学生の就職環境は近年、大きく変化している。
その理由は「教授推薦型就職」が圧倒的な比率を占めていた頃に比べ、「自由応募型就職」の選択肢も増えてきているからだ。
今、理系の強みともいえる「数学や計算に対する強さ」や「数値を基にして考え、論理的かつ着実に課題をこなす能力」などが様々な職種でも求められている。
こうした背景を受けて、推薦枠を使わずに就職活動をする理系学生は、2019年卒では59.8%(キャリスタ就活2019学生モニター調査結果)。一方では推薦枠を縮小するメーカーなどが増えている傾向にある。
『最新理系就職ナビ』(講談社刊)は理系学生のインターンシップ・就職支援事業を営む「理系ナビ」を発行する植島幹九郎氏による、理系学生のための就職ガイドだ。
本書は、今までの理系学生の就職活動の概念にとらわれずに就職活動をすることを提案。一般企業で理系学生が必要とされているのかを解説し、実際に理系出身者が活躍する現場や先輩の体験談をもとに多様な選択肢と可能性を紹介している。
冒頭にも書いたように、社会のニーズが多様化し、明確な解がなくなっている今、理系の持つ能力は幅広い業界から求められている。そのため、理系学生も能動的にキャリアを選択していくことが必要になる。
とはいえ業界、職種の選択肢が増えたことで、より広い視野で自分のキャリア設計を考えなければならないので、迷うことも多いだろう。
研究開発職やITエンジニアといった仕事を理系のイメージとして思い浮かべる人は多いかもしれない。だが、実際は、メーカー、金融機関やコンサルティングファームなども積極的に理系の人材を採用しているという。
また、商社やサービス業などの文系職でも理系学生の採用ニーズが高まっている。理系の持つ論理的に考える力はビジネスにおいては必須。その流れは当然とも言えるべきことだろう。
また、意外なところでは、マスコミ業界も理系を求めている。
出版社や業界新聞社、Webメディア運営会社などでの技術的情報誌の編集やテクニカルライターなどは需要がある。工学系から医療系までさまざまな領域の専門誌や取扱説明書が存在するが、それらをつくるためには、専門的の知識と理解を欠かすことができない。
多様多種なライティングニーズがあるので、自分の持っている知識や得意なスキルをフル活用できる業界とも言えそうだ。
本書を読むと幅広い選択肢が存在していることが分かるだろう。ただ、その分だけ自分のことを知る時間も必要かもしれない。
理系の能力と自分の得意なものを最大限に活かせる環境に行くために、どのような進路を選ぶべきか。植島氏のアドバイスは、多彩なオプションを持ちながらじっくり考えることが大事だと思わされる。
◇
巻末には植島氏と堀江貴文氏との対談が収録されており、堀江氏は「とにかく行動する人が強いんです。僕が今もし、これから就職活動をする学生だとしたら、たぶんメチャクチャ忙しくしてると思うよ」と自身の考えを述べつつ、「未来のことなんて考えてもしょうがない。それよりも、今を一生懸命生きてください」と学生たちにアドバイスを送っている。
理系のニーズが広がっているのだから、視野を広げてみることは大切だ。
本書を読むことで、自分では気づかなかったキャリアプランを見つけることができるかもしれない。
(新刊JP編集部)
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