ほとんどの人にとって「人生最大の買い物」といえばマイホーム購入でしょう。
物件購入については、「戸建てかマンションか」という終わりのない議論もありますが、もし分譲マンションを買うという決断をしたのなら、立地や価格、住みやすさといった点の他に考えるべきことがあります。
■総額は初期投資額の7倍も 「維持管理費」の負担は意外に重い!
『マンションの資産価値を決める「究極の計算」』(川田耕治著、ダイヤモンド社刊)は、管理会社の現役社長で、自身が購入したマンションでの理事長経験もあり、マンション管理のプロである著者が、マンション入居後に生まれる人間関係や、起こりうるトラブル、かかる費用などについて解説した一冊。
それによると、コンクリートのビルの維持管理には、初期投資額の5~7倍のお金がかかるといいます。つまり、100億円のマンションを建てたなら、そのマンションが寿命を迎えるまでに500~700億円の維持管理費がかかるということです。
多くの場合、分譲マンションの入居者は、この維持管理費の一部である修繕積立金の一時金を物件購入時に払っています。にもかかわらず、入居後も維持管理費が将来の大きな負担になることは多いのです。
■修繕積立金にひそむワナに注意!
こういったことが起こる原因として、マンションの販売会社が、物件販売時に月々の修繕積立金を安く設定しがちなことが挙げられます。こうして、購入後の負担が少ないように見せかけて成約につなげるというのは、不動産販売のよくある手法です。
販売会社としては、物件の瑕疵担保期間(建設会社の保証期間)である10年を乗り切ればいいという考えがあることも否定できません。
だからこそ、新築で修繕が必要のないうちは修繕積立金を安く設定しても成約を優先するわけですが、そうなると最初の修繕計画だけにしか資金が回らず、二度目、三度目と修繕があると資金が不足しがちです。その分の負担はやはり所有者に回ってきます。
また、維持管理費には修繕積立金だけでなく、月々の管理費や将来の取り壊し費用もあります。マンション購入は、ローン支払いの他にも何かとお金のかかるものなのです。
もちろん、こうした維持管理費がかかるからといって、マンション購入をするべきではないという話ではありません。実際は戸建てよりもトータルでは安くなると考えられます。
また、こうした維持管理費は、物件の資産価値を高く保つという意味ではプラスに働きます。
とくに修繕費の積み立ては相続税対策になるという大きなメリットがあります。子どもに資産を引き継ぐのなら、現金を残す代わりに修繕費を多めに積み立てておけば、相続対象にならず、マンションの価値が高いまま下の代に相続することが可能になります。
さらに、もしマンションの建物寿命が大幅に長いとしたら、どんなメリットが得られるのでしょうか?ミレニアムマンションという大胆な考え方も紹介されます。
本書ではこの他にも、マンション管理組合との付き合い方、住民トラブルへの対処など、マンションを買うなら避けては通れない問題について解説されています。
一生に一度の大きな買い物である不動産購入を絶対に失敗させないために、管理者として多くのマンションに携ってきた著者のアドバイスは大いに参考になるはずです。
(新刊JP編集部)
株式会社オトバンク「新刊JP」
次これ読もう、が見つかる「新刊JP」 日本最大級の書籍紹介ウェブサイト。話題の書籍や新刊本をブックナビゲーターが音声で紹介するインターネットラジオ番組「新刊ラジオ」や、書評記事、イベントレポート、出版業界の動向などを提供するニュースメディア「新刊JPニュース」、旬の作家のインタビューを掲載する「ベストセラーズインタビュー」、書店をフィーチャーした企画や電子書籍レビューなど、本にまつわるコンテンツを豊富に揃えています。あなたの「あ、これ読みたい」が見つかるはずです。
記事一覧
公式サイト