家にある材料で簡単に作れるおしゃれ料理が人気のレシピブログ「含み笑いのカフェごはん『syunkon』」は、レシピだけでなく関西弁ノリの軽妙なエッセイで、料理をしない人でもひき込まれる人気ブログです。
今や月間800万アクセスというモンスターブログとなった『syunkon』ですが、このブログを運営する山本ゆりさんは、数多くのレシピ集を手掛けてきた料理コラムニスト。でも、ブログを始めた当時は、何の資格もない一人の料理好きだったようです。
そんな彼女はなぜブログをはじめ、料理を仕事にするに至ったのか、ご本人にお話をうかがいました。その後編をお届けします。
――山本さんの著書『syunkon日記 スターバックスで普通のコーヒーを頼む人を尊敬する件』(扶桑社刊)について、タイトルに入っている「スターバックスで普通のコーヒーを頼む人を尊敬する件」は「確かに!」と思いました。なんとなく、コーヒーを頼むのはもったいなくて、無駄にフラペチーノを頼んでしまうという。
山本:「スターバックスは特別な場所」っていう感覚があるんだと思います。私は未だに入るだけでも緊張します(笑)それで「せっかくきたんだから」って言って「キャラメルフラペチーノ」を頼んでしまう(笑)。貧乏性なんですかね。
――本もブログも一貫してテンションが高く、読んでいると元気が出てきますが、ご本人は普段からハイテンションなんですか?
山本:いえ、そこまでテンションは高くないです(笑)ブログも淡々と書いています。
――本当ですか?自分に自分でツッコミを入れている感じからして、とても明るい方なのかと……。
山本:自分に自分で、って改めて言われると恥ずかしいですねすみません(笑)基本的に明るいとは思いますが、書いている時は、けっこう淡々とツッコミを入れています。でも、書くことは大好きです!
――もう何冊も本を出されていて、ブログを始めた当初の目標は達成したわけですが、それでもブログを続けるモチベーションはどこにあるのでしょうか。
山本:最初は、本を出せたらブログをやめよう、と思って始めたんですけど、いざ出してしまうと、それまでにコメントをくれたりして応援してくれた人がたくさんいたから出せたんだと気づいて。やめるわけにはいかないと思うようになりました。というより、やめたくないと思うようになりました。
今もコメントは励みになっていて、読むのをいつも楽しみにしています。
――料理はもちろん、日常生活のひとコマや友達とのやり取りや、おばあさんの「きよこ」さんの話題など、もはや「レシピブログ」に収まらないほど、内容は多岐にわたります。書くにあたって心がけていることはありますか?
山本:私は芸能人ではないし、ただの私生活や子どもの話を書いてもほとんど誰も興味がないと思うので、書くとしたら、読んでくださった人が何か面白いと思ってもらえるようなことを書こうとは思っています。
あと、毎日初めてブログを見に来てくださった人でもわかるように、たとえば子どものことでも、「あみ(5歳の娘)」のように補足説明を書くようにしたり、何回同じ質問を頂いても同じ丁寧さで応えようと思っています。
「いつも見て下さっている」というのは思い上がりなので・・・・。でも、逆に本当に毎日、何年も見て下さってる読者さんもいらっしゃるので、レシピの使い回しだったり、そういうのは絶対しないように、と思っています。って言いながら結構かぶったりしてますが!
――ブログで紹介されている料理はどれもおいしそうで、しかもおしゃれです。新しいメニューはどのように考えていますか?
山本:新メニューといってもそんなにすごいものは考えられていないのですが……(笑)。常に何か作れないかと考えてはいます。
時間があったらデパ地下に行ったり、コンビニの新商品をチェックしたり、あとカフェの看板に出ている料理の写真を見て、「これ作れないかな」と考えたり。
もちろん、自宅のキッチンであれこれ作って試しながら考えることもあります。
――メニュー作りには一貫したテーマのようなものはあるんですか?
山本:「どこにでもある材料で簡単に作れるもの」というのは、ブログを始めた時から一貫しています。調味料にしても、一回買って使った後は余らせてしまうようなものは使っていません。
おしゃれな食材も、おしゃれな調味料も使わずにおしゃれな料理を作る、というのがテーマかもしれませんね。
――今後の活動について、やってみたいことがありましたら教えていただきたいです。
山本:料理本だけではなくて、コラムやエッセイのお仕事もしてみたいという気持ちはありますが、今は1年中本を作っている生活で、なかなかその余裕を持てなくて。ただ、私は「いつかは本を」と思ってブログを始めたので、やっぱり一番強いのは「おもしろい本を作りたい!」という思いです。だから今のまま、本にすべてを賭けるというスタイルでもいいのかなと思っています。
――最後になりますが、山本さんのブログや本のファンの方々にメッセージをお願いします。
山本:料理の腕も大したことがなく、いつもいい加減な私のブログと本を見てくださってありがとうございます。ブログの方では、優しいコメントにいつも励まされています。もしよかったら、これからも宜しくお願いします。
(新刊JP編集部)
『syunkon日記 スターバックスで普通のコーヒーを頼む人を尊敬する件』(扶桑社刊)