社会人としてのキャリアの話題になると、必ずといっていいほど出るのが「20代をどう過ごすかでその後の人生が決まる」という意見。
社会に出た最初の数年はもっとも吸収力の高い時期。そこで何を身につけるか、どんな行動をとるかで、後のキャリアに大きな差がついてしまうというわけです。
誰でも最初は、「与えられた仕事を一生懸命こなすだけ」のはず。ですが、組織の頂点まで上り詰めたり、起業して成功を収めるなど、トップクラスのキャリアを送る人は、その状態からすぐに抜け出し、周囲の人とは一線を画した働き方で成果を出しはじめます。
彼らは20代の時期、どんな働き方、どんな時間の使い方をしているのでしょうか。
■どうでもいい仕事は適当にやりすごす
『トップ1%に上り詰めたいなら、20代は“残業"するな』(山口周著、大和出版刊)によると、将来成功する人ほど、若いうちから仕事を見極めるそう。
仕事の中には6割くらいの力でこなせるものや、どう考えても重要ではないものもあります。そういった仕事は可能な限り逃げ、逃げられなかったら適当にやりすごし、「自分の成長につながる仕事」や、「自分の評価が上がる仕事」に全力を注ぐのです。
おうおうにしてこのタイプの若手は上司や先輩からの受けが悪いもの。しかし、すべてに全力投球して残業続きになるよりは、多少社内で嫌われても定時に帰って、将来のための勉強をしたり、社外の人と会って見聞を広げる方が、長期的には成長につながります。
■職場の冷たい視線に負けずに定時で帰る
こういう仕事の仕方ですから、成功する20代は基本的に残業をしません。同僚や上司がどんなに残業をしていても、定時にさっさと帰ってしまいます。
仕事とは、時間ではなく成果で評価されるべきもの。しかし、毎日残業して長時間働いている人は、結果を出せなくても周りから「あれだけがんばったんだから、しょうがないよね」という目で見られがちなのも事実です。
そう考えると、残業とは結果を出せなかった時のために、「がんばっている自分」を見せておく、というある種の「保険」であり、「逃げ」の側面があるのかもしれません。
皆が残業するなか、一人定時に帰り続けている人が結果を出せなかった時、周囲の目は冷たいはず。そのプレッシャーにも負けずに、あくまで結果にこだわるのが、ビジネスで成功できる人なのです。
■キャリアの転機がやってくる人脈とは
上昇志向の強い、若いビジネスパーソンほど熱心なのが「人脈づくり」です。
知人からの誘いで転職したり、起業したりといったことは珍しくない以上、人脈はあるに越したことはありません。ただ、「異業種交流会」のようなイベントに参加するのは、単なる「知り合い」が増えるだけで、仕事につながる人脈にはなりません。そこには「信用」がないからです。
大切なのは、「自分の仕事ぶり」を知って、信用してくれる人をどれだけ作れるか。そこにしか「仕事につながるいいご縁」はないということを、ビジネスの世界で成功する人は早いうちから知っています。
本書には「残業に逃げるな」「上司の言いなりになる人ほど後でバカを見る」「“使えるヤツ”は結局、使えない」など、一見型破りなアドバイスが並び、中には実践するのにかなり勇気がいるものもあるはず。
でも、これらはどれも、ビジネスでトップを極める人の仕事の仕方や時間の使い方の例です。野心のある人、志のある人は実践してみると、今の会社で鼻つまみ者になるというリスク以上に、得るものも多いはずです。
(新刊JP編集部)
『トップ1%に上り詰めたいなら、20代は“残業"するな』(大和出版刊)