贅沢をしているつもりはないのに、なぜかお金が貯まらない。
そんな悩みを抱えている方に質問です。
日々、こんなことをしてしまってはいませんか?
・スーパーで「半額」シールが貼られている品を見て「買わなきゃ損」と思ってつい買いすぎてしまった
• コンビのレジ脇に並ぶドーナツやホットスナックを「大した金額じゃないから」と衝動買いしてしまった
贅沢するつもりがないからこそ、こういった習慣はつきやすいもの。でも、
この「安物買いの銭失い」こそが、お金を貯めにくくさせている元凶です。
こうした小さいムダづかい・衝動買いをなくすだけで「月々、4万円は浮く」と語るのは、ファイナンシャル・プランナーにして『書かずに貯まる! クリアファイル家計簿』(扶桑社刊)の著者、いちのせかつみさん。
今回は、いちのせさんが提唱する「クリアファイル家計簿」という、家計のやりくり術についてお話をうかがいました。
■「書く」「計算する」が億劫な人にオススメな「クリアファイル家計簿」
――まずは、「クリアファイル家計簿」という方法を思いついた経緯から、お話いただけますか。
いちのせ:私はこれまで約30年にわたり、家計簿診断という活動を行なってきました。その名の通り、様々なご家庭の「家計」にまつわる相談に乗ってきたわけですが、あるとき、家計簿をつけること自体がハードルになってしまい、挫折する人が少なくないことに気づいたんです。
挫折してしまった人にその理由を訊ねてみると、「記録をつけるのが手間」「計算するのが面倒」という声が多かった。そこで、それらの障害をのぞけないものだろうかと考え思いついたのが、クリアファイル家計簿です。
――では、「クリアファイル家計簿」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
いちのせ:クリアブック(クリアファイルが冊子状になっているもの)に1日ごとの予算を入れる。毎朝、1日分の予算を取り出して財布に入れる。1日が終わったら、財布のなかから余ったお金とレシートをクリアブックに戻す。この三つの作業をひっくるめて、クリアファイル家計簿と呼んでいます。ちなみに1日の予算は、家族構成にかかわらず2000円です。
これを徹底すれば、日々のお金の動きがつかみやすくなりますから、マズいお金の使い方をしてしまっても、すぐに気づけるようになる。結果、ムダづかいが減るという仕組みです。
――かなりシンプルな方法ですね。これだと「書く」「計算する」という作業が要らないため、長続きしやすいということでしょうか。
いちのせ:そうですね。加えて、ゲーム性が高いという点も、長続きしやすい理由かもしれません。
先ほど「余ったお金はクリアブックに戻す」といいましたが、人間おもしろいもので、「昨日も今日も300円しか余らなかった」と分かると、ちょっと悔しい気持ちになり、「明日は500円余らしてやろう」とがんばりたくなるものなんです。
そして翌日、目標どおり500円余らせることができると嬉しくなる。しかも、そうやって日々がんばった分だけ、小銭がクリアブックに貯まり、冊子の重みが増していく。いつの間にか達成感を味わうためのゲームと化し、習慣として定着する方が多いようです。
なかにはゲーム感覚が高じて、さらなる「進化」をさせる方もいらっしゃいます。
――「進化」ですか?
いちのせ:先ほどもいったように、クリアファイル家計簿は「1日の予算は2000円」が基本です。でもこれでは飽き足らず、「1日の予算1500円」というルールを自らに課す方も出てくるんです。
ここまで来るとかなりの上級者。徹底的に数字を分析したくなるようで、従来型の家計簿をつけ始める方が少なくないというのも興味深いですね。
――なるほど。逆にいえば、それぐらいのレベルになるまで従来型の家計簿は不要なのかもしれませんね。ちなみに、クリアファイル家計簿を実践する上で、挫折しやすいポイントを挙げるとすれば何ですか。
いちのせ:強いていえば、最初のころは「2000円をオーバーしてしまう日」が出がちなので、その対応に注意が必要です。
予算をオーバーしてしまったとき、やってしまいがちなのは、前日までにクリアブックに貯めた分からお金をひっぱりだして帳尻を合わせようとすること。でもこれでは、それまでの努力がパアになってしまい、やる気がなくなってしまいます。
なので、予算をオーバーしてしまったときは、翌日以降の分から前借りするという方法で乗り切ったほうがいいと思います。
(後編へ続く)