今年もあと数日となったが、この時期は、忘年会でついつい食べ過ぎたり、飲み過ぎたりして太りやすい季節でもある。ぽっこりふくらんだお腹を反省して、年が明けたところで「よし、今年は痩せるぞ!」と一念発起してダイエットに精を出す、というのがお決まりになっている人も多いだろう。
しかし、そうした「気合い十分」な人が陥ってしまいがちなのが、食事量を極端に減らしたり、絶食したりというような、過激なダイエットだ。『なぜあの人は、夜中にラーメン食べても太らないのか?』(クロスメディア・パブリッシング/刊)の著者・道江美貴子氏によると、こうした傾向は特に男性に強いという。
■大半は「水分が抜けただけ」で、体脂肪はそれほど減っていない
一般的に、体の余分な脂肪を減らそうとすると、体脂肪1kgあたり約7000キロカロリーを消費しないといけないといわれている。つまり、たとえば1カ月で一気に10kg痩せるためには、7万キロカロリー分の食事を減らすか、あるいは運動で消費しないといけない。
ただ、これは平均的な成人男性なら毎日絶食しても達成できないような数字であり、運動するにしても、体重60kgの人であれば1日5時間ジョギングをしなければならず、現実にはほぼ不可能だ。
一方で、実際に1カ月で10kg痩せたという人がいることも確か。一体なぜなのか? 著者は、こうした短期間での大幅減量の場合は、「多くは体の水分が抜けただけで、実は体脂肪はそれほど減っていない」という。
ほかにも、こうした極端なダイエットをすると、(1)脂肪より筋肉のほうが落ちやすいので、水分の次は筋肉量が減ったことで基礎代謝が落ち、太りやすくなる、(2)少ない食事でも体のはたらきを維持できるように体が「省エネモード」になってしまうので、食事量を元に戻すと、それまで以上に太りやすくなってしまう(いわゆる「リバウンド」)、(3)脳にも十分な栄養がいかず、集中力が下がったり疲れやすくなったりする、などの点が指摘されている。
■流行の「糖質制限ダイエット」が抱えるリスク
また、「食事の炭水化物さえ抜けば、その他の肉や魚は好きに食べていい」という手軽さに加えて、短期間での減量効果が比較的高いといわれて流行している「糖質制限ダイエット」についても、著者は警鐘を鳴らしている。
前述のように、そもそも体脂肪は減りにくく、またリバウンドのリスクは上がるし、頭が働かなくなったり、「糖質」とともに炭水化物を構成する「食物繊維」などの必要な栄養素が不足したりしてしまうというリスクがある。どうしてもやりたい場合は、健康のためには、夕食の炭水化物を抜く程度の「ゆる糖質制限」にとどめておいたほうがよいとのことだ。
食事は、食べ方ひとつで、太りやすさや栄養の効率なども変わってくる。逆にいえば、そうした知識を「知っているか、知らないか」だけで、同じ食事でも、体や頭に与える影響は大きく違ってくるといえる。
著者は管理栄養士として、これまで100社以上の企業の健康アドバイザーを務めており、本書の内容はそうした実践的な栄養学の知識をベースにしている。あわせてスマートフォンアプリやウェブによる食事管理サービスの運営も行っており、同サービスの会員60万人、2億食にのぼる食事データのビッグデータ分析から得られた知見も盛り込んでいるという。
「飲み会で太らないための前準備」「焼肉の食べ方の鉄則」「夕食が遅くなるときは『先取り完食』をする」「牛丼と天丼ではどっちがより太りやすいか」「太らない『コンビニ定食』のつくり方」など、日本人の食生活を踏まえて、ビジネスパーソンの「食べ方」をアドバイスしている本書で、年末年始を乗り切ってみてはいかがだろうか。
(新刊JP編集部)
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