眠らないといけないのに眠れない。眠りが浅くてすぐに起きてしまう。睡眠に対して何かしらの悩みを抱えている人は多いでしょう。睡眠がうまく取れないと、仕事のパフォーマンスが落ちたり、日常生活に支障をきたしたりしてしまいます。日本国民の20%にあたる約2000万人以上が睡眠障害を引き起こしているというデータもあり、これは深刻な問題です。
さらにこれは、「今現在」だけの問題ではありません。「最も睡眠効率が悪かった人は、睡眠の質がよい人と比べて、初期のアルツハイマー型認知症を発症する可能性が5倍以上になる」という報告をアメリカ・ワシントン大学の研究グループがしているのです。
アルツハイマー型認知症は、アミロイドβなどの異常なたんぱく質=「脳のゴミ」が排出されずにたまり、脳神経が壊れて徐々に脳が萎縮していく病気です。忘れ物や紛失が多くなったり、自分のいる場所が分からなくなるといった代表的な症状のほかに、発症からの寿命は約15年といわれています。最近では「ドラえもん」の声優だった大山のぶ代さんが認知症を患い、闘病生活をおくっていることで話題になりました。
実はその脳の「ゴミ出し」は睡眠中に行われているという研究報告があります。睡眠不足で脳のゴミが蓄積されていくと、数十年後に認知症になる可能性があることが、わかってきたのです。これは年齢が若くても同じで、睡眠をおろそかにしていると認知機能が低下します。記憶する、考える、判断する、推測する、人とコミュニケーションするなどの能力が下がれば、仕事のパフォーマンスにも影響します。
では、ぐっすり眠れるようになるにはどうすればいいのでしょうか。
快眠セラピストの三橋美穂さんの著書『脳が若返る快眠の技術』(KADOKAWA/刊)によれば、快眠を得るには以下の5つの法則を満たすことが大事だと言います。
法則1:夜、暗くなったら眠る
法則2:疲れたら眠る
法則3:深部体温が下がると眠る
法則4:リラックスしていると眠れる
法則5:睡眠環境が快適
ここから、この5つの法則を通して特に注意すべき点、実践したいポイントを2つ、ピックアップしてご紹介しましょう。
(1)眠くないのに寝床に入ってはいけない
「午後10時から午前2時は睡眠のゴールデンタイム」という話を聞いて、午後10時に寝ようと思って試したことがある人はいるでしょう。
しかし、眠気がない状態で無理に寝床に入っても眠れるはずがありません。逆に眠れないことで頭がいっぱいになり「今日も眠れない…」となると、余計に眠れなくなってしまいます。
こういうときは、朝、起きる時刻だけを決めて、眠くなるまでは寝床に入らないようにしましょう。
(2)睡眠日誌で自分の眠りを観察しよう
眠りを改善するには、自分がどんなリズムで寝ているのか、いつ眠気を強く感じるのかなど、客観的に知ることが大事です。
そこでおすすめなのが、「睡眠日誌」をつけること。
「寝つきが悪い日は、起床時間が遅かったり、夕方うとうとしてしまっていた」「食事の時間が遅かった日は夜中にたびたび目が覚めた」など、眠れたときと眠れなかったときの原因が把握できるようになり、自分に合った快眠法のヒントを見つけることができるはずです。
「良い睡眠を取る方法」についての情報はたくさん世に出回っています。しかし、実践しても結局改善できず、諦めてしまったという人も少なくないはず。
三橋さんは本書の中で、基本となる「眠るための5つの法則」の必要性を訴えた上で、さまざまな快眠メソッドを取り上げています。今まで取り組んできたことがあまり効果なく終わっていたのは、「そもそも」の段階で間違えていたからかもしれません。
良い睡眠をとり、イキイキとした毎日をおくりましょう。
(新刊JP編集部)
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