英国で開かれている体操の世界選手権の男子団体で、日本が37年ぶりとなる金メダルを獲得し話題を呼んでいる。全6種目を演技しチームをひっぱった内村航平選手は、悲願の団体金メダルを手にし、表彰台で晴れやかな笑顔を見せた。
内村選手といえば、母・周子の教育熱心ぶりが有名だ。幼いころから、一瞬だけ絵本を開いて見せ、何が書いてあるのかを当てさせるなどの「右脳トレーニング」を実践していたことは、テレビ番組(「体操・内村航平のキセキ~母が語る23年間~」BS朝日)などでも明かされている。
人間の脳は3歳までに80%が完成するといわれており、幼児教育の重要性に対する認識が進んでいる。内村選手の右脳トレーニングは生後6ヶ月からはじまったというが、そうした幼児教育が、現在の内村選手が持つ瞬間的な集中力の礎になっているのだろう。
では、具体的にどのようにすれば子どもの才能を伸ばすことができるのか?
『3歳までの子育ての教科書』(アスコム/刊)では、様々な分野の専門家が幼児教育の注意ポイントを解説している。ここでは脳の専門家による解説をいくつか紹介しよう。
●3歳までに伸ばすべきは「本能的な能力」
脳神経外科専門医の林成之氏は、3歳までの子ども脳で最も伸ばすべきとしているのが、好奇心などの「本能」に根ざす部分。
ではどうすれば伸ばせるのか。たとえば、子どもが興味を持ったものに対して、まずは無条件に「いいね!」と褒めてあげること。逆に、やってはならないのは「そんなものに興味を持ってはダメ」と、子どもの興味関心の芽を摘み取ってしまうこと。
子どもが自ら興味を持ったものを肯定してあげることで「好きこそものの上手なれ」を後押ししてあげる。これが、子どもの本能的な能力を育てるうえでのポイントなのだ。
●IQでもEQでもなくSQを最優先に伸ばす
脳科学者の中野信子氏が重要視するのが、SQ(“かかわり”の知能指数)。中野氏によると、3歳までの時期にうまく働きかけることができれば、この能力はいくらでも伸ばせるという。IQが知能指数であるのに対し、SQはいわばコミュニケーション能力に関する知能指数。子どもが自己肯定感を高めるうえで極めて重要な能力のひとつである。
SQを伸ばすうえで効果的なのは、家族以外の他者と触れ合う機会を増やすこと。具体的には、ホームパーティを開いたり、公園に出かけてみるのがいいだろう。
●子どもの得意分野を一緒になって探してみる
脳科学者の茂木健一郎氏が強く薦めるのは、子どもの得意分野を親が一緒になって探してあげる「宝探し」をすること。
そして、この宝探しをするにあたってのキーワードは「他人」だ。子どもがちょっとしたことで他人から認められた瞬間を見逃さない、あるいは、子どもが友だちとのつながりのなかで「何か」を掴んだ瞬間を逃さないといったことが重要になる。
つまり、親自身が普段どんなネットーワークのなかで生活しているのかが、「宝さがし」に決定的な影響を与えるともいえる。
本書では、ここで紹介した「脳」以外にも、「環境と生活リズム」「食」「体と健康」など6つの側面から、総勢19名のプロフェッショナルたちが幼児期の子育てについて、様々なアドバイスをしている。あとで「あのとき、こうしてあげればよかった…」と後悔しないためにもチェックしておきたい1冊だ。
(新刊JP編集部)
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