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弁護士事務所 どのくらいの問題で相談すべき?

  何か法律トラブルに巻き込まれそうになったとき、あなたには気軽に相談できる弁護士の知り合いはいますか? 以前に比べれば身近な存在になったとはいえ、知り合いの弁護士もおらず、いざというとき、どのように行動すればいいのか分からない人は少なくないでしょう。

 『頼る力: 99%のトラブルが解決!かかりつけの法律相談所へ』(合同フォレスト/刊)の著者である吉田章美さんは夫が主宰する弁護士事務所の支配人を務めています。日々、さまざまな法律相談に乗るなかで、「もっと早く相談に来ていれば、ここまで大ごとにならずにすんだのに…」と実感し、かかりつけの歯医者を持つような感覚で、「かかりつけの弁護士」を持つことを推奨しています。
 今回、新刊JP編集部は吉田さんにインタビューをおこない、自分に合った弁護士の探し方などを中心にお話をうかがいました。今回はその前編です。

――まず、本書にある「かかりつけの弁護士」とはどのようなものか、教えていただけますか。

吉田:金銭問題でも家族問題でも何でもいいんですけれど、少しでも困ることが出てきたら、弁護士事務所を頼っていただきたい。そんな意味を込めて「かかりつけの弁護士」という言葉を使いました。
ただいきなり、そういう弁護士を見つけるのもむずかしいでしょうから、まずは1つか2つ、弁護士事務所を訪ねてみることをおすすめします。何人かの弁護士に何度か相談に乗ってもらいながら、自分と相性のいい弁護士を見つけていけばいいと思います。

――気軽に相談できる弁護士を持つことのメリットは何ですか?

吉田:「何が起きても、あの弁護士のところへ行けば安心」と思えるようになることです。ひとりで悶々と悩んでも解決の道はいっこうに見えてきません。むしろ精神的にますます追い込まれてしまうことを考えれば、「まずは相談してみる」のがいいと思います。弁護士に話を聞いてもらうなかで、だんだんと解決の道筋が見えてくるにつれ、相談者の表情が明るくなっていく様子をこれまで何度も見てきました。

――ただ、「弁護士のところへ相談に行く」というのは敷居が高いと感じている人も少なくないと思います。とくに地方などの場合、「あの人、弁護士のところに相談しに行っているらしい」と周囲に噂が広がってしまうことを不安に思う方もいるのではないでしょうか。

吉田:わたしが夫とともに営んでいる事務所は、宮崎県の都城市にありますが、実際、そういう方が多いです。村社会的な要素が強い地域ほど、この傾向は強くなると思います。けれど、少しでも歯が痛いと感じたら歯医者さんへ行くのと同じ感覚で、弁護士事務所へ来ていただけるとうれしいですね。
相談するにあたって、どうしても周囲の目が気になるなら、隣の市や他県の弁護士事務所を訪ねるのがいいでしょう。わたしの事務所にも、隣の県から相談に来られる方は少なくありません。

――では、弁護士を選ぶ上で気をつけるべきポイントを教えてください。

吉田:まず「良い弁護士」の条件とは何かといえば、相談者の話を親身になって聞いてくれることでしょう。あとは、相談したい分野に関してある程度の経験値を持っていること。
逆に、「悪い弁護士」は、相談者にあまり質問をしない人ですね。相談内容を聞くなかで、細かな経緯の確認、証拠はありそうか等、具体的な質問をしてこない弁護士は、その相談案件についての経験値が低い可能性があります。

――相談者が素人判断で弁護士にも相談せずに放置しているケースも多いと思いますが、この点に関して、どう思われますか?

吉田:相談者本人は、問題の大きさが10だと思っていても、相談してみたら3程度のものだったというケースや、逆に大した問題じゃないだろうとタカをくくっていたら大変な問題だったというケースもあります。つまり、事態の軽重を正しく判断できないのがデメリットですね。
なので、繰りかえしになりますが、まずは相談に行かれることをおすすめします。行ってみて大した問題じゃないことが分かったとしても、法律について何らかの予備知識を得る機会にはなるでしょうから。

(後編へ続く)

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