6月30日に返済期限を迎えたギリシャの債務15億ユーロ(約2000億円)は、「返済なし」とIMF(国際通貨基金)から声明が出された。
その一方で、報道によれば、30日にギリシャ政府より返済期限延長の申し出があり、欧州中央銀行(ECB)理事会のノボトニー・オーストリア中銀総裁は「これはデフォルトではない」という見方を示しているという。
注目が集まるギリシャでは、7月5日に財政緊縮を問う国民投票が控えており、どのような結果になるのか世界に緊張が走っている。
しかし、どうしてギリシャは財政破綻をしてしまったのだろうか。
高城剛氏の『世界はすでに破綻しているのか?』(集英社/刊)によれば、ギリシャの財政赤字が明らかになったのは2009年10月。そこから経済危機はアイルランドやポルトガル、スペイン、イタリアなどヨーロッパ全土に連載し、ソブリン危機(欧州債務危機)と呼ばれ、ヨーロッパ中に不安をもたらした。
実は高城氏によれば、もともとギリシャは1830年の独立以降、半分以上はデフォルト状態という「問題児」で、2001年のユーロ導入の際にも粉飾を行い、必要な財政赤字を実際はクリアしないままユーロに加盟したという。
この背景にあるのは政治の腐敗だ。過去30年にわたり利権絡みの非効率な公共投資が行われ、公的部門の歳出が膨れ上がっていた。また、ギリシャの人口1100万人のうち、公務員は110万人以上。縁故採用は当たり前で、彼らは民間よりも高い水準の給料を国や自治体からもらっている。ほかにも、政治家による収賄や汚職、脱税が横行するなど、以前から問題ばかりだったようだ。
2010年1月、欧州委員会がギリシャの経済統計の不備を指摘すると、ギリシャ政府は財政健全化計画を発表、緊縮財政に乗り出す。ところがこれに怒ったのがギリシャ国民だった。アテネでの激しい抗議デモの様子を覚えている人も多いだろう。
そして2010年4月、ギリシャ政府はEUとIMFに支援を要請し、向こう3年間で総額1100億ユーロの金融支援が発表された。さらに、5月10日にはIMFとともに総額7500億ユーロにもなる財政危機国向け基金の設立が決まり、ギリシャは借金地獄から抜け出す手立てができた。
しかし、これはいわば借金を借金で返すものであり、実質的にはすでに破綻しているような状況だ。2012年にはIMFやEUなどによる1300億ユーロの二次支援が決定したが、現在のギリシャの状況を見ていると「支援による救済」から楽観的な未来をうかがうことはできないだろう。
IMFへの債務滞納は、先進国としてはギリシャが初めてのケースとなった。ユーロ圏にはポルトガルやスペインなど経済に不安を抱えている国も多く、今後の影響は免れないはずだ。今後のギリシャの動向に注目したい。
(新刊JP編集部)
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