弁護士、会計士、税理士などの「士業」は食いっぱぐれがないというのはもう昔の話。今は士業の資格を取っても顧客が見つからず、食べていけない時代だと言われています。
苦労して難関資格に合格したのに、顧客がつかずに困っている人は多いでしょうし、顧客集めに苦労することを考えて独立をためらってしまう人もいるはずです。
ただ、こういう人がなかなか気付けないのが、信用金庫や信用組合といった金融機関の利用価値です。金融機関は融資を受けたり資産運用をしたり、預金をするだけではもったいない! うまく付き合えば、金融機関が顧客を連れてきてくれることを知っていますか?
■信用金庫や信用組合が顧客を紹介してくれるワケ
『お客は銀行からもらえ!―士業・社長・銀行がハッピーになれる営業法』(東川仁/著、さくら舎/刊)が勧めているのは、金融機関のキーパーソンと関係を築くことで、顧客を紹介してもらうという方法。
この顧客獲得方法を勧める背景には、「金融機関」のこんな思惑があります。
金融機関からすると、自分たちが融資をしている会社の業績は上向いてもらわないと困るわけですが、融資先の企業の経営や実務面での「困りごと」を直接解決する力はありません。中小企業の社長はたたき上げの人物が多く、銀行員が会社の問題点を指摘しても「現場も知らない若造が!」と感情的に反発されてしまうこともあります。
こういう時に頼りになるのが士業です。士業は各分野の専門家ですから、こういう反発を受けることは少なく、話を聞いてもらえます。ただ、銀行員は士業やコンサルタントの知り合いが少ないため、自分で紹介することはできないのでず
一方、中小企業の立場で考えても、資金繰りや売上アップなど、経営上の悩みを専門家に聞いてもらえるのはありがたいこと。士業はこの両者の隙間に入り込むべきだといえます。
■顧客と一緒に銀行を訪問するだけで…
では、どのように金融機関とパイプを作ればいいのでしょうか?
もちろん、飛び込み営業に行くのもありですが、一番効率がいいのは、今いる自分の顧客企業の経営者と一緒に、定期的に金融機関を訪問することだといいます。
「顧問だから」ということで、経営者と一緒に金融機関を訪ねるのはごく自然なことですから、行ったさきの金融機関の貸付担当者とは普通に話をすることができます。
これを何回か繰り返すだけで、銀行とのパイプを簡単に築くことができ、信頼を得ることができれば、やがてあなたの専門分野で問題を抱えている企業を紹介してくれるようになるといいます。
多くの経営者は忙しく、融資を受けている銀行だからといって定期的に業況を報告するような律儀なことはしません。しかし、金融機関からすれば融資している企業のリアルタイムの状況は絶対に知っておきたい情報ですから、定期的に訪問して業況報告をしてくれる企業は非常に好感度が上がります。結果的に企業は融資を受けやすくなるため、士業は自分から働きかけてでも、顧客の経営者を金融機関訪問に行かせるべきなのです。
本書では、「銀行員さえ味方につけておけば、少なくとも仕事に困ることはない」として士業向けに金融機関との関係の作り方を指南しています。
もちろん、すべての金融機関が仕事を回してくれるわけではありませんし、関係を作る銀行員の役職も重要です。
そういったことも本書では残さず明かされているので、これから士業として独立を目指す方も、すでに独立して顧客を探している人も、参考にしてみてはいかがでしょうか?
(新刊JP編集部)
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