「世の中の常識」あるいは「業界の常識」だと思っていたことが、実は自分の会社の顧客にとっては不便を感じるものでしかなかったり、時代遅れになってしまっているということは、決して珍しくありません。
たとえば『情熱経営』(幻冬舎/刊)の著者、「合言葉は情熱です」のテレビCMでもおなじみ、相川佳之さん(湘南美容整形外科クリニック医院長)が身をおく美容外科の業界には「料金表が明確に提示されていない」「治療後に起きる一時的な腫れの写真は公開しない」といった「常識」があるそうです。
美容外科といえば、まっさきに浮かぶのが保険外診療になることの多い「美容整形」であることを考えると、どちらの常識も顧客のメリットとはかけ離れています。相川さんはこれらの常識に挑み、顧客第一のクリニックを作りあげた結果、開業14年で全国に42院の分院をつくるまでに事業を成長させることができたといいます。
しかし「常識を破る」というのは、これまでの業界の慣習を覆すことですから、同業者からは相当な反発があったはず。これに打ち勝つのには強い覚悟と確かな戦略はもちろん、部下やスタッフをまとめあげるリーダーシップが必要になるのはいうまでもありません。
では、このリーダーシップを相川さんはどのように鍛えていったのでしょうか。本書から、その秘訣をいくつか紹介します。
■「他責」でなく「自責」の人になる
物事がうまくいかなかったり、望んでいる結果が出なかった時ほど、その原因を自分以外の人や周囲の環境にあると考えたくなります。
でも、そうやって「人のせい」「周りのせい」にしているうちは、決して現状がいい方向に変わることはありませんし、自分の成長もありません。現状を変えたかったら、うまくいかない原因は自分にあると考えて、自分を変えていくしかないのです。
特にリーダーは結果に対する責任を全て引きうける立場ですから、どんな結果が出てもすべて自分の責任として引き受けられないと、部下の信頼を得ることも難しくなってしまいます。
■叱る時は感情的にならず、感動した時は感情を思いきり出す
人を束ねる立場にいると、どんなに優しい人でも部下を叱らなければならない時があり、この叱り方には多くのリーダーが頭を悩ませているはずです。
もちろん、人によって適した叱り方は違いますが、「感情的に叱る」ことだけはやめましょう。これでは部下やスタッフを不要に傷つけるだけです。
どんな叱り方をするにしても「なぜ叱るのか」「どこを改善してほしいのか」を冷静に、丁寧に説明するのは必須。それを考えると、叱る時はいかに感情を抑制するかがポイントになるといえます。
しかし、部下の奮闘ぶりや仕事への情熱に感動した時は、思いきり感情を表現しましょう。冷静さだけでなく、ハートの熱さ、人間臭さも見せることで、部下やスタッフとの距離感は確実に縮まっていくはずです。
■リーダーは虚勢を張らない
リーダーは部下の前で格好をつけたい気持ちとも戦わないといけません。
「努力せずに才能だけでスマートに成功を収める天才肌のリーダー」に見られたい気持ちは誰もが持っているはずです。
でも、本来は努力家なのに、虚勢を張って「天才」を演じてしまうと、自分の周りにはその演じているキャラクターに共感するスタッフ・部下しか残りません。すると、本質的なところで相性が合わなかったり、気持ちが通じないといったことが出てきてしまいます。
それならば、本来の泥臭い自分をさらけ出して、それに共感する部下だけが残っていたほうが、仕事はうまく運ぶはずですよね。
相川さんは本書のなかで、チーム全員、会社のスタッフ全員が同じ方向を向く、結束力の強いチームづくり、組織づくりの秘訣を、自身の経験談をまじえつつ明かしています。
起業家は経営者はもちろん、リーダーと名のつく全ての人にとって、相川さんの言葉は共感できる部分が多いはず。ぜひ参考にして、自分なりのマネジメントに生かしてみてください。
(新刊JP編集部)
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