今年、ニューヨーク・ヤンキースで活躍した黒田博樹投手が8年ぶりに古巣の広島カープに復帰するというニュースに胸が熱くなった野球ファンは多いはず。
MLB屈指の超名門球団でエース級の働きを見せた黒田投手が来年日本でどんなピッチングを見せてくれるのか、カープファンでなくても注目です。
ところで、黒田選手が今年所属したニューヨーク・ヤンキースといえば、ボストン・レッドソックスとのライバル関係が有名です。歴史も人気も双璧の両球団だけに、エピソードには事欠きません。たとえばユニフォームひとつでも、こんな裏話があるそうです。
■ヤンキースはひとケタ背番号が使えない?
メジャーきっての名門球団であり、今年は田中・黒田両投手、イチロー選手と三人の日本人選手が所属しているということで注目度ナンバーワンなのがニューヨーク・ヤンキースです。
ヤンキースといえば、選手名が入っていない背番号だけのユニフォームがあまりにも有名ですが、独特なのはそれだけではありません。メジャーリーグで初めてユニフォームに背番号を入れたのがヤンキースなのです。
もともと、野球のユニフォームには選手名はおろか、背番号も入っていませんでしたが、1929年にヤンキースが選手の「打順」をそのまま選手の番号としてユニフォームの背中に掲出したのが背番号のはじまり。当時の看板選手で3番打者だったベーブ・ルースは背番号「3」で、その後を打つルー・ゲーリックは背番号「4」というように背番号をつけていったのを他球団も取り入れるようになり、定着していきました。
ただ、打順を背番号にしてしまったおかげで、名選手の多かったヤンキースは、現在ひと桁の背番号はほとんどが往年の名選手たちの番号として永久欠番になってしまっており、空いているのは「2」のみ。しかし、その「2」も今年引退したデレク・ジーター選手の番号ということで、これまた永久欠番になるのが確実視されています。
■“グリーン・モンスター”に隠された秘密とは?
そのヤンキースの宿敵といえば、同じアメリカンリーグ東地区でボストンを本拠地にするレッドソックスです。
上原浩治投手と田澤純一投手の日本人コンビはすっかりおなじみとなりましたが、その二人が一番多くマウンドに登る球場が、本拠地フェンウェイ・パーク。
フェンウェイ・パークといえば、メジャーリーグの歴史そのものといって過言ではないほどの古い球場で、エピソードの宝庫です。
たとえばレフト後方、“グリーン・モンスター”と呼ばれる、高さ11.33mの巨大なフェンスには、スコアや他球場の試合経過などを伝えるボードがついているのですが、そのボードの中の、スコアを仕切る白線の中に小さな点々がついています。
これは実はモールス信号。解読すると「TAY」と「JRY」となって、レッドソックスの運営に生涯を捧げた前球団オーナー夫妻のイニシアルになるのだそうです。
球場内の小さな一角のことですからファンが実際に目にする機会は多くありませんが、今のアメリカ野球を作りあげた先人達の努力に敬意を表す意味で覚えておきたいですね。
『ヤンキースのユニフォームにはなぜ選手の名前がないのか?』(鈴木友也/著、日経BP社/刊)には、日本のプロ野球とは大きくことなるメジャーリーグ球団の経営手法や、長い歴史の中のエピソードなど、アメリカ野球、特にメジャーリーグにまつわるマニアックな裏話がまだまだ取り上げられています。
まだまだ球春は先ですが、冬の間に予備知識を入れて、来年も野球をさらに楽しみたいところですね。
(新刊JP編集部)
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