体調を崩しやすいこの時期、少しずつ寒くなっていくなかで、寒暖差に体がついていかなかったり、不調をきたしてしまったりすることは多いでしょう。一方で、秋の定期検診で引っかかってしまい、不安になっているという人もいるはず。
このように、大なり小なり私たちの生活の中で、「健康」への不安は常につきまとうものです。「健康であり続けることは努力が必要だし、お金もかかる」そう思っている人は少なくないかもしれません。
漢方薬・生薬認定薬剤師である村上百代さんは『年をとるほど健康になる人、なれない人』(自由国民社/刊)の中で、年齢を重ねても元気でいられる人と、そうでない人の違いを生活習慣の視点から教えてくれる一冊。
本書の中で村上さんは、「ずくなし」健康法という自然のリズムにそった暮らしをベースにおくライフスタイルを提案しています。
■秋を健康に過ごすためにはどうすればいい?
本書の特徴は、前述のように“自然のリズム”に沿うような生活をしようという提案がなされていることです。自然のリズムとは、「春夏秋冬」「二十四節気」といったものから、「朝昼夜」といった短い時間のものまで様々ですが、これらは私たち人間にはコントロールできないもの。
コントロールできないならば気をつけて、身をゆだねるしかありません。「秋」という季節を例にとりましょう。秋は空気が乾燥しやすい季節なので、漢方では肺や気管支が弱りやすいとされているそうです。だから、深い呼吸で横隔膜を活性化させることが大事。家や会社の近くにある公園などで深呼吸をしてみるのもいいかもしれません。特にぜんそくやアトピー体質の傾向がある場合は、自然が多い場所で深呼吸を心がけるよう村上さんはいいます。
また、夏の間に冷たいものをたくさん食べたりしませんでしたか? 漢方では「老化は腸から始まる」といわれているそうで、夏の間に内臓が疲弊している可能性も…。腸は便通だけでなく、自律神経やホルモンバランス、免疫機能などに関わる大切な器官なので、ぬか漬けやみそなどの発酵食品を多めに摂って、腸の働きを助けてあげることをすすめています。
食材としては、葱・生姜・ニンニク・唐辛子など、適度な刺激になる程度の辛味はストレス発散に。色では白い蓮根・山芋・里芋・大根などは肺を丈夫にします。秋にとれる栗・桃・梨・銀杏なども体質改善におすすめです。
■気温の低下で心も揺れがち?
また、秋は気温の低下につれて、気分が揺れ、情緒的、感傷的になりやすい季節でもあるのだそう。ただ、これは一時的なものであるため、「そういう時期だ」という風に理解し、必要以上に落ち込まずに自分を優しく見つめてあげましょうと村上さんはアドバイスしています。
秋には秋の対処法があるように、冬には冬の、そして春には春の対処法があります。それが“自然に沿った暮らし”なのです。
「ずくなし」健康法の「ずくなし」とは、村上さんの出身地である長野の方言で、「ずく」が「ない者」という意味だそうで、「ずく」とは精神力や執着心を表す言葉。つまり、「なまけ者」「根気のない人」ということです。少しネガティブなイメージが浮かびますが、本書ではそれをポジティブにとらえ、毎日無理にきちんと実践するのではなく、ちょっとできなかったら休んで、途中からまた再開するようなゆるさを持って、実践してほしいと述べています。
自然に寄りかかるようにして実践する。それは実は、私たちの生活にとってとても重要なことなのかもしれませんね。
(新刊JP編集部)
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