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ジャンク、DIY…インテリア界の新たなブーム“男前インテリア”とは?

 「RoomClip」というアプリを知っているだろうか。部屋のインテリア、家具、雑貨の写真を共有するSNSで、現在30万ダウンロードを突破したという。
 そんな「RoomClip」内で一つの大きなブームが起きている。「男前インテリア」が主婦層を中心に流行しているというのだ。

 『RoomClip Style』(扶桑社/刊)は、「RoomClip」内に投稿された数々のおしゃれな部屋やインテリア、雑貨などの写真を集めたムック。特集では「男前インテリア」がフィーチャーされており、その特徴はアメリカン、インダストリアル、そしてジャンクといった男らしい“かっこよさ”の要素が満載なのだが、実はそうしたデザインを女性が好んで作っているというのだ。
 今回はインテリアの新たな潮流「男前インテリア」について、「RoomClip」を運営するTunnel株式会社執行役員の川本太郎さんにお話をうかがった。
(金井元貴/新刊JP編集部)

■主婦層が「男前インテリア」に注目する理由とは?

――表紙を見ると、「大人女子がはまる“男前インテリア”」という言葉が目立ちます。今、主婦層を中心にブームとなっている「男前インテリア」とはどんな特徴を持ったインテリアなのでしょうか。

川本さん(以下敬称略):まず、女性を中心に流行している「男っぽい」インテリアだということです。「男前」という言葉は、そもそもインテリアの領域ではなかったもので、「インテリア」と「男前」というキーワードで検索がはじめてかけられたのは、おそらく2012年6月くらいだと思います。
ただ、男っぽいテイストのインテリアは以前からあって、イメージとしては、深めの木の色、オーク材みたいな木目のデザインであったり、黒や青、緑などの寒色系の色遣いが当てはまります。また、金属も錆びた感じを出したり、スモールサインという、アルファベットを使った小さな看板風の小物ですね。そういったものを上手く組み合わせることで、男っぽい演出をしていたんです。

――それを「男前」だと呼ぶ文化が、「RoomClip」の中で生まれた。

川本:そうです。そして、ユーザーの方々がコメント欄などで、インテリアを褒めるときに「その机、男前だね!」とか「すごい男前!」という形で使うようになりました。そういうやりとりが生まれたのは、去年の夏頃ですね。
私が見ている限り、「かっこいい」を言い換えた形で「男前」という言葉を使っている感じです。

――この『RoomClip Style』に掲載されている写真を見ると、かなりジャンクな雰囲気を醸し出していますよね。

川本:そうですね。「男前」タグが生まれた頃は、集合ポストや木に寒色で文字を入れたものですとか、雑然と本が並べられた本棚ですとか、定義がとても揺れていたのですが、だんだんとユーザーさん同士の間で固まっていきました。
だから、女性の方々が考える「男の人の部屋」がそこに投影されているんですよね。逆に男性ユーザーの方々は「男前」というタグをあまり使わないんです。

――それは面白いですね。

編集担当・池田さん(以下敬称略):そういったデザインのことを、インテリアの世界では「ジャンクスタイル」というような言い方をしていました。だから「男前インテリア」というのは、「RoomClip」が発祥ではないかと思います。

川本:そうだと思います。ブランドでいえば、journal standard FurnitureさんやTRUCK FURNITUREさんのような、インダストリアル系のスタイル。いわゆる、無骨な感じに、アメリカンカジュアルが混ざったようなテイストが、「男前」と認定されるイメージですね。
こうしたインテリアを好む人はずっといて、数年前にも本が出版されたことがありますし、インテリア関連のブログをやっている有名なブロガーさんもいらっしゃって、そのブロガーさんのファンが「RoomClip」内にいて、男前インテリアというムーブメントをつくっていったという感じがします。

――この「男前インテリア」が女性から人気を集めている理由はなんでしょうか。

川本:高価なアイテムと、すごく安いものやDIY、リメイク雑貨などを組み合わせているというのが男前インテリアの特徴です。つまり、チープなものや手作り感があるものでも、雰囲気に合うんです。それが、流行している北欧インテリアやミッドセンチュリーと大きく違う点で、それらって安っぽいものを入れると異物感が出てくるんですね。「男前インテリア」の場合、高いソファと手作りのものを組み合わせても調和がよくとれる。そういう部分が女性のプチプラ心をくすぐっているように思います。

編集・池田:インテリアのブームは、基本的に価格が高くないものでないと定着しません。だから、お金をかけずに再現ができるというところでは「男前インテリア」は久々のヒットですね。

川本:また、DIY女子という、日曜大工を女性がやるというムーブメントの盛り上がりに乗ったという側面もあると思います。彼女たちは、もともとはナチュラル系のテイストを好みにする傾向がありましたが、それと重なる形で、こうしたDIYでできる「かっこいいインテリア」が受け入れられたというところは特徴的だと思いますね。

――「RoomClip Style」は部屋全体だけでなく、小物系、雑貨系の写真も豊富です。凝ったものが多くてかっこいいですね。

川本:これらの小物や雑貨を手作りしている方は多いですね。例えばkumiさん(書籍22ページ)の部屋に飾られている、文字だけのディスプレイなどは全部ご自身で作られていたかと思います。
今、エクセルを使ってオリジナルのステッカーを作ったり、スマホでそれを作ってしまえる時代になっているようで、素材とかもインターネット上でフリー画像を探して、それを個人で活用するというのが流れですね。

――パソコンやスマートフォンを使った新しいタイプのDIYですね。

川本:そうですね。5年くらい前まではパソコンを使って何かを作るということは敷居の高いことでしたが、今はそれがすごく手軽にできるようになったように思います。さらにそこから情報交換もできるようになっている。

――『RoomClip Style』はどういう風に部屋や小物・雑貨を作っているのかが非常に分かりやすく載っているので、自分も作ってみたいと思いました。レタリングシートの作り方やオリジナルラベルの作り方も掲載されていますし。

川本:それらが手軽にできるというのが大きなポイントですね。100円均一で売っているもので作れてしまうものが多いですから。「RoomClip」のユーザーさんにインタビューをしてみると、喫茶店やカフェでは、店内に飾られているおしゃれな雑貨や小物をチェックするそうなんです。自分で作れないかどうか。作れそうならば、100円均一とホームセンターでその材料を揃えて自分で作る…というようなことをやっていらっしゃる方もいるようです。また、街で見つけたかっこいい看板の写真を撮影して、その看板で使われているフォントと似たフォントをネット上で探すという方もいらっしゃいます。

――「男前インテリア」に合う小物や雑貨にはどんなものがありますか?

川本:これは「男前インテリア マストアイテム」(書籍34ページ)で紹介していますが、まずは「バスロールサイン」ですね。イギリスのバス停の案内板です。こちらは本物を買うと高いので、自分でそれっぽく作って飾っているユーザーさんが多いです。あと、「革ガーランド」といって、革を旗のようにして部屋に飾っている方もいらっしゃいます。
他には、缶を錆びているように見せて、ダウンロードしたかっこいいフォントを使ったラベルを貼ると、かなりジャンクな感じに見えます。ユーザーさんの間で錆びた色合いを出すためのやり方にグループができているというのは面白いですね。
また、ブライワックスを使って木の色合いに深みをつけるというのも、「男前インテリア」の特徴ですね。ブライワックスを使っているユーザーさんは多いです。

(後編は近日配信!)

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「RoomClip」を運営するTunnel株式会社執行役員の川本太郎さん

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