「家計のために仕事をしなければいけないけれど、そうなると子育てと両立できるかが心配で…」と思っている母親は少なくないでしょう。
しかも今は社会の変化が大きい時代、教育をめぐる環境も、ただ学校教育に頼るのではなく、家庭での教育も重要視されるようになっています。
では、働く母親は子どもの教育をどのように考えればいいのでしょうか。そのヒントが書かれているのが『こんな働く母親が、子供を伸ばす!』(扶桑社/刊)です。本書は個人学習指導者の松永暢史さんが2009年に出版した一冊で、このほど文庫化されました。松永さんの『男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』シリーズは60万部を突破しており、それに続く文庫化となります。
■つらくても子どもの前では笑顔でいる
近年、共働きの夫婦が増えていますが、その中での子育てにおいて、母親の役割はとても重要だと松永さんは言います。
中には離別や死別などで家庭に父親がいないシングルマザーもいるでしょう。
どんなときも、子どもは母親の様子を敏感に感じとるもの。子どもの精神状態は母親の精神状態に影響を受けやすいので、母親が暗い表情になってしまっては、子どもも不安で仕方がない毎日を送ることになります。
元気で明るくいることが、子どもの力になる。松永さんは、母親に「陽のエネルギー」を発してほしいとお願いしています。
■働く母親のほうが、子どもをスクスクと育てることができる
家事に育児…一生懸命やっても、なかなか報われないことが多いのが母親ですが、そこに会社での仕事が加わると、愚痴を漏らしたり、イライラを溜め込んでしまったりすることもあるはずです。
いつも頑張っているからこそ、思い通りにいかなくてイラッとしたときには「せっかく○○したのに!」「こんなにしてあげているのに!」などと言いたくなります。しかし、それが理不尽な怒りとして子どもに伝わってしまうと、子どもの心を傷つけてしまうことになってしまいます。
精神的に落ち込んでいるときは、夫におごらせて外食するのもいいですし、冷凍室に入れておいたメニューを食卓に登場させてもいいでしょう。報われないときの「せっかく○○したのに!」「こんなにしてあげているのに!」という言葉はNGです。
本書の主張は“「時間がない」「仕事が忙しい」でも子どもを優秀にできる”というもの。「働くお母さんは専業主婦よりもハンデがある」と思われがちですが、決してそんなことはなく、働く母親の方が子どもをスクスクと育てることができると言います。
例えば、普段家にいない時間が長いため、どうしても子どもに家事を手伝ってもらう機会が多くなります。そして、「親に甘えたくても甘えられない」「母親がいない間、家事をやっておく」というその時間が自立を促していくのです。
大人になっても自分で洗濯や掃除ができない、「母親がいないと何もできない」という人もいますが、これは異性に最も嫌われるタイプ。マザコン男やわがまま娘は、結婚相手としても敬遠されがちです。働く母親がいる家庭は、身の回りのことや家事ができる自立した大人に育ちやすい。このことは、一つの大きなメリットであるはずです。
本書はシリーズ前2作にあたる『男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』『女の子を伸ばす母親は、ここが違う!』とともに、育児の指針の一つになる一冊です。
(新刊JP編集部)
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