ビットコインというと、今年2月に「マウントゴックス」という大手取引所が取引の中断を発表し、にわかに話題になったことで日本でもよく知られるようになった。
そもそもビットコインとは何か。平たく言うと、インターネット上で取引される通貨だ。peer to peer型の暗号通貨で、匿名で取引される。特徴的なのは、「発行主体が存在しない」という点だろう。日本円ならば日本銀行が発行元にあたるわけだが、ビットコインは誰の管理も受けずに流通している。また、ビットコインの過去の取引情報は世界中のすべてのユーザーで共有されており、二重支払いや偽造を防いでいる。つまり、完全に利用者間の信頼に担保された通貨であるということだ。
そんなビットコインは、マウントゴックスの一件で「怪しいもの」として捉えられがちになったが、仕組みそのものには大きな可能性が秘められている。
『ヤバイお金 ビットコインから始まる真のIT革命』(高城泰/著、扶桑社/刊)はビットコインの仕組みと可能性を説明する入門書であるとともに、ビットコインの次世代を狙う様々な暗号通貨を紹介する一冊だ。
今や第二、第三のビットコインが次々と生み出されており、いずれは私たちの生活に根付く可能性も秘めている。そこでここでは、ビットコインの次の主役を狙う「オルタコイン」(ビットコインに代わる暗号通貨)から注目の4つのコインを紹介しよう。
■ライトコイン
ライトコインは暗号通貨界の不動の二番手で、「ビットコインは金、ライトコインは銀」とも言われている存在だ。
ライトコインの特徴は「軽さ」。取引の認証にかかる時間が短く、ビットコイが取引してから認証までに10分かかるのに対し、ライトコインは3分弱しかかからない。また、価値も軽く、総発行量はビットコインの2100万枚に対してライトコインの8400万枚。発行量が多くなるため、1コインあたりの価値もそれだけ“軽く”なるというわけだ。
しかし、二番手といってもビットコインとの格差は大きく、ビットコインの亜種感が強いと高城氏は評価する。
■ネクストコイン
三番手のネクストコインは、単なる通貨ではなく、登記所的な機能を目指したコインだ。発行量の上限は10億枚だが、これは最初に開発チームによって用意されたもので、配布される形で流通する。
2014年1月に登場したばかりだが、大きな注目を集めており、すでに暗号通貨3位の時価総額へと急成長している“成長株”。しかし、すでに総発行量10億枚が発行済みになっているというカラクリもある。
■ダークコイン
暗号通貨界四番手に位置するのが「ダークコイン」だ。暗号通貨は「名は体を表す」という特徴を持つが、この「ダークコイン」もその名の通り。
ビットコインは取引の透明性が高く、ユーザー間で情報を共有しているのが特徴だが、このダークコインは透明性に異を唱え、取引を公開するか匿名にするかを選択できる「ダークセンド」と呼ばれる仕組みが取り入れられている。人に知られたくない取引をする場合に使われるオルタコインだ。
■リップル
「リップル」はオルタコインに入れるかどうか迷うほど、他のコインとは発生が異なる。まず、リップル・ラボという運営者がいる。少額決済サービス「PayPal」の創業メンバーだったクリス・ラーセン氏がCEOを務めている。出資者はGoogleのベンターキャピタル部門に、アンドリーセン・ホロウィッツ氏という有名なベンチャーキャピタリストだ。開発者はP2Pファイル交換ソフトの「eDonkey」開発者のジェド・マケーレブ氏で、この人は暗号通貨のプリンスといわれている。つまり、背後にはそうそうたるメンバーが揃っているのだ。
リップルは円を円のまま海外へ送金でき、受けてはそれをドルで受け取ることができる。ビットコインは新しい通貨だが、リップルは「価値取引のためのインターネット」ということができるだろう。
他に、2ちゃんねる発の「モナーコイン」やネット上の“ノリ”で生まれたという逸話を持つ「ドージコイン」など、様々な「オルタコイン」がある。
普及が進めば、ニュースなどでその名を聞くかも機会が増えてくるかもしれない。ビットコイン、そしてオルタコインたちに今のうちから注目して損はないはずだ。
(新刊JP編集部)
【関連記事】
・
日本ではありえない 世界の“怖いビジネス”・
すぐに消える人、儲け続けられる人の違い・
「声」を使った技術はここまで進化した!・
誰が「J-POP」を殺したのか?次世代のお金の主役になるかも!? ポスト“ビットコイン”