貯金できない何らかの事情がある人は別にして、「自分は貯金をまったくしていない」という人は、おそらくほとんどいないのではないだろうか。自ら「貯金をしない」と決めて羽振り良くお金を使い、さらにそこに借金まで重ねていると、もはや「ダメ人間」の烙印すら押されてしまうのではないだろうか。
その「ダメ人間」は極端な例だが、日本人は「貯金」に対する意識が高く、「借金」に対しての目が厳しい。
しかし、その風潮に真っ向から反論する人がいる。堀江貴文氏だ。2009年に著した『夢をかなえる「打ち出の小槌」』(青志社/刊)では、意味のある「借金」に対して肯定的にとらえ、それを自己投資に使うべきだと主張している。
今回は本書の第4章から、お金や人との付き合い方について触れていく。
■借金の仕方を学ぶことが大事
前述のように、多くの人は借金に対してネガティブな印象を受ける。確かに「貯金をしなさい」とはいわれても、「借金をしなさい」とはあまり言われない。
堀江氏は、借金にまつわるネガティブな話―自己破産したとか、夜逃げをしたといったエピソード―は単純にお金の借り方を知らないから起きてしまったことだと述べる。今あるお金や資産のほかに、スキルやノウハウなどの無料固形資産をどれだけ持っていて、その上で将来を含めた稼ぎがどれだけあるのかを考えれば、借りられるお金は自ずと分かるはず。
借金といえば、例えば住宅のローンもいわば「借金」である。しかし、ローンは誰からも批判されない。そこに堀江氏は首をかしげる。長期ローンを組んで住宅を購入しても、終身雇用の崩壊などでサラリーマンを続けても収入が保証される時代ではなく、いつお金を払えなくなるかは分からない。「借金」の仕方が分からないと、「思考停止」の状態のままリスクを抱えることになってしまうのだ。
■金がないなら時間と体力を使え
お金がないなら、ないなりにどうとでもできるというのも堀江氏の主張の一つだ。
成功するための投資という話をすると、スクールに通ったり、資格を取ったり、モノを揃えたり、とお金が必ずかかるものだと考える人も多い。しかし、堀江氏は「それだけではない」と言う。
お金を使わなくても、アルバイト先、友達の家、近所の店など、さまざまなところで自分のやりたいことを磨く方法はみつけられるはずだ。例えば堀江氏はアルバイト先にあったパソコンを使い、そこでの仕事を通して技術や知識を身につけていったそうだ。
お金がなくても創意工夫次第でスキルアップはできる。スキルアップをすれば、自分に自信がついてくるはず。それが成功のカギとなるのだ。
■人づきあいはより深く!
またお金だけではなく、人づきあいももちろん大事である。そこから得られるものは大きく、その人の持っている知識や考え、情報は自分にはないものも多く、刺激にもなるはずだ。
しかし、居酒屋に行って酒を飲みながらうわべだけの話をしていても刺激は得られない。より、その人の本質に迫れば、その人の持っている宇宙が見えてくるはずだ。そうすると相手との関係性はより深まる。そこに信用が生まれ、より深い話ができるようになるのだ。
本書での堀江氏の主張は一貫しており、全くブレがない。そして、「誤解を怖れずに書いた」という本書の文体は、今ベストセラーとなっている『ゼロ』よりも鋭く、そして堀江氏の本音がつまっているようにも思える。
すでに『ゼロ』をすでに読んだ人でまだ『夢をかなえる「打ち出の小槌」』を読んでいない人は、ぜひ手にとってみてほしい。
(新刊JP編集部)
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