少子化が急速に進む日本。子どもは一人だけという「ひとりっ子家庭」は、いまや子育て家庭全体の3分の1にものぼります。
そんな「ひとりっ子」のママたち共通の悩みに、ひとりっ子の“風評”があるそうです。「ワガママに育つ」「チームワークが苦手」「マザコンになる」など、ひとりっ子に対する偏見に親がまいってしまい、子育てストレスの原因になっているのだとか。
そんなひとりっ子ママたちのさまざまな悩みに答え、子育ての道を照らしてくれるのが『7歳までに知っておきたい!「ひとりっ子」の育て方』(和田秀樹/著、学研パブリッシング/刊)です。
■「ひとりっ子はワガママ」は本当か?
「○○ちゃん、ひとりっ子だからワガママで大変じゃない?」
こんなことを二人以上の子どもを育てているママ友に言われたらいい気持ちはしませんよね。
たしかに、ひとりっ子は環境的に他人と何かを分け合う経験が少なくなります。そのせいで、友だちと分け合うべきものを悪気なく独り占めしてしまい、友だちから「ワガママ」だと思われてしまう可能性は否定できません。
でも、考えてみれば「きょうだいっ子」だって、歳の離れた末っ子だったりすれば、状況は同じようなもの。結局は、しつけのやり方次第といえるでしょう。
独り占めにしても、親がきょうだいの代わりになって何かを分け合う機会を作ることで解決できます。「さあ、このケーキ、お母さんと半分こしよう!」というように譲り合いのルールを教えてあげれば、ひとりっ子でも他人と譲り合う心を持つ子に育つはずです。
■「ひとりっ子はチームワークが苦手」は悪いことじゃない
「うちの子たちは、いつもきょうだいで遊んでるから他の子とも仲良く遊べるけど、○○ちゃんはひとりっ子だし、そういうの苦手なんじゃない?」
ひとりっ子は、こんなふうに「チームワークが苦手」「協調性がない」と思われがちです。
ただ、何でも一人でやりたがるというのは、見方を変えれば子どもの精神的な成長の証でもあり、むしろいい方に捉えるべきこと。
問題があるとすれば、一人で何かをする経験しかしてこないと、「一人でできる範囲」のことしかやらなくなってしまうこと。やはり、子育ての過程で「みんなで協力すると、一人でやるよりもっとすごいことができる」ことも教える必要があります。
これは、単に共同作業をさせればいいわけではなく、「一人ではできないことがある」とわからせることがポイント。
複数人でないと運べないようなものを運ばせてみたり、キャンプに行ってテントを張らせてみるなど、一人ではできないことをやらせることで、子どもはチームワークの必要性を理解することができます。
■「ひとりっ子はマザコンになる」は気にする必要なし
「○○ちゃんはひとりっ子だから甘えん坊でしょう?将来マザコンになっちゃうんじゃない?」
きわめつけはこれです。「ひとりっ子はマザコンになる」。こんなイメージがあるから、我が子は絶対にマザコンにしたくないと考えている親は多いかもしれません。
なぜか日本では「マザコン」が叩かれがちですが、親から自立できていれば「マザコン」とはただの「親孝行」。イタリアに行ってみれば、男性の多くが母親大好きの「マザコン」です。
「マザコンのどこが悪いの?」と開き直って、子どもにはたっぷり愛情を注いであげましょう。マザコンと言われるのを恐れて、愛情をかけないというのは最もいけない対応です。
ただ、子どもに愛情をかけることと、子どもを支配することは別。これを親が取り違えてしまうと自立できない子どもになってしまう可能性があるので注意が必要です。
世間で言われるひとりっ子のイメージなどまったく気にすることはありません。きょうだいがいるかいないかに関係なく、親が愛情を注いで子育てをすれば、ひとりっ子でも優しく、利他の精神を持った人に育つはず。
本書にはこの他にも、ひとりっ子の子育てならではの悩みについて解説されているので、一人息子、一人娘をどう育てるべきか迷っている方は、手にとってみるとモヤモヤが晴れるかもしれません。
(新刊JP編集部)
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