世界にはまだ解き明かされていない様々な謎が散らばっている。その一つが旧約聖書の『創世記』に登場する“ノアの方舟”だ。
大洪水が起こることを神から知らされたノアは、大きな箱舟を造り自分の家族とその妻子、すべての動物のつがいをその中に乗せた。そして、箱舟は洪水によってアララト山に流れ着き、ノアたちは生き残ることができた――というのが大まかなあらすじだが、実際に洪水が起きて箱舟がアララト山に流れ着いたという説を唱える研究者も多く、船が辿りついた跡や木片があったという報告もあるという。
伝説か事実か、そこにロマンを感じる人は多いはずだ。
考古学者のハサド・アーヴァディはそんな“ノアの方舟”伝説に魅せられた人間の一人であり、方舟の存在に最も近づいた人間の一人であった。そして、彼は驚くべきことを知ってしまう。
それは、“ノアの方舟”は“今も存在している”ということだ。
しかし、ハサドは消息を絶ってしまう。
それから3年後、ハサドの娘で同じく考古学者のディララ・ケナーは、ハサドの親友であったサムから連絡を受け、失踪した父親にまつわる重要な情報を伝えたいと告げられた。
ところが、その情報を詳しく聞き出す前に、ディララの目の前でサムは死んでしまう。突然の心臓発作だと思われたが、そうではない。サムは殺されたのだ。さらに、ディララにも魔の手が迫る。
『THE ARK 失われたノアの方舟(上・下巻)』(ボイド・モリソン/著、阿部清美/翻訳、竹書房/刊)は、人類を滅ぼそうとする計画を阻止すべくカルト集団に立ち向かうディララと元陸軍兵のタイラーの戦いを描くアメリカ発のアクション・アドベンチャー小説だ。本作では“ノアの方舟”伝説が大きな鍵となっており、2人は残された7日間という短い時間で世界を救えるのか、手に汗握る展開が続く。
本作はもともとAmazonの電子書籍オンラインストア「キンドル・ストア」で自費出版された後に人気が集まり、結果的に世界中で翻訳されたという、まさに“シンデレラ・ストーリー”を辿った経緯を持つ。
作者のボイド・モリソン氏は、エンジニアとしてNASAの宇宙ステーション計画に携わったり、マイクロソフトのXbox部門で勤務したりするなど、かなり変わった経歴の持ち主。そのためか、作中で描かれる科学技術のディティールは目を見張るものがある。
アメリカでは、読者から映画化を望む声があがっているほどの人気ぶりだそうだ。年末、スリリングなアクション小説の世界に浸りたい人にとって、この長編小説はうってつけなはずだ。
(新刊JP編集部)
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