「鳴かぬなら ○○○○○○○ ほととぎす」
あなたなら、「○○○○」の部分にどんな言葉を入れますか?
これは、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の3人の戦国武将の性格をあらわすお馴染みの歌。信長が「殺してしまえ」、秀吉が「鳴かせてみせよう」、家康が「鳴くまで待とう」と表現されており、なかなかよくできていますよね。
では、この「○○○○」の部分を“経営の神様”と呼ばれた松下幸之助は、どう当てはめたのでしょうか?
正解はこちら。
「鳴かぬなら それもまたよし ほととぎす」
うーん、幸之助が詠むと、含蓄があるように聞こえてきますね。
そんな幸之助ですが、あるとき、社員に対して「自分はこの3武将よりもエライ」と言い放ったというエピソードが伝わっています。
戦国の世を終わらせ、長きにわたる安定の世の礎を築いた3人よりも「自分の方がエライ!」と言うなんて、傲慢さを感じてしまいますが、実はこの幸之助の言葉には深い意味が込められています。
幸之助はまずこう語ります。
「信長はエライ。常識にとらわれない発想の持ち主や」
続いてこう語ります。
「けど、秀吉は信長よりもエライ。信長の悪かったところを学んで周りへの気づかいを忘れない“人たらし”で、雑兵から天下人に登りつめた」
さらにこう続けます。
「けどな、家康は秀吉よりもエライ。秀吉のいいところと悪いところを学んで、江戸時代が幕末まで続くように経営したな」
そして、こう言います。
「けどな、信長よりも、秀吉よりも、家康よりも、ボクの方がエライんやで。だってボクはな、信長と秀吉と家康のいいところと悪いところを勉強して、経営に活かしているからな」
なるほど! さすが経営の神様だ、と思った方、実はこれで幸之助のエピソードは終わりません。本当にすごいのはこの先です。幸之助は話を聞いていた社員にこう言ったのです。
「けどな、キミの方がもっとエラくなれるんや。信長と秀吉と家康とボクのいいところと悪いところを勉強して、仕事に活かせばええんや」
なんと、自分を含めた先人たちのよいところだけでなく、悪い部分は反面教師にして勉強しろと社員に訴えたのです。そして、そうすれば君たちのほうがエラくなれる、と。
確かに私たちはいくらでも偉大なる先人たちから学ぶことができます。物理学者のアインシュタインは「過去から学び、今日のために生き、未来に対して希望を持つ」という言葉を残していますが、彼らは過去や歴史に学ぶことが、成功につながることを知っていたのです。
この松下幸之助のエピソードは、西沢泰生さんが執筆した『大切なことに気づかせてくれる33の物語と90の名言』(西沢泰生/著、かんき出版/刊)に収録されています。
この本では「シゴト」「人のつながり」「生き方」という3つのテーマをもとに、珠玉の33のエピソードが掲載されています。国民栄誉賞を受賞した長嶋茂雄さんと松井秀喜さんの絆を描いたショートストーリーをはじめ、勇気づけられる言葉が至るところに散りばめられています。本書を読み終えた瞬間、あなたに元気を与えてくれるはずです。
(新刊JP編集部)
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