犬は「記憶の動物」といわれているのを知っていますか?
犬は信頼関係を結んだ飼い主のことを、死ぬまで一生思い続けるといいます。
それを私たちに教えてくれるのが、犬のカウンセラー・三浦健太さん。
三浦さんが体験した犬と飼い主の心温まるエピソードをまとめたコミックエッセイ『犬が教えてくれたこと』(アスコム/刊)は発売後、動物好きの間で話題を呼んでいます。
この本のトップを飾る犬と飼い主のおじいさんのエピソードは、涙なくして読めないお話。今回はそのあらすじをご紹介しましょう。
おばあさんに先立たれたさみしさから、犬を飼い始めたおじいさん。
犬の名前は「ボブ」。ゴールデンレトリーバーの子犬でした。
最初はうまくコミュニケーションをとれない2人(匹)でしたが、いつも一緒に散歩し、一緒に暮らす時間が長くなるにつれて、ボブはおじいさんの心のさみしさをうめてくれる一番の友達になっていきました。
ボブが悪いことをすれば、おじいさんは時間をかけてボブに言って聞かせます。
おじいさんとボブはいつも一緒。それはとても幸せな時間でした。
しかし、そんな幸せ時間も、長くは続きませんでした。突然の心筋梗塞で、おじいさんは亡くなってしまったのです。
おじいさんを失ったボブを、おじいさんの家族が引き取ろうとしました。
しかし、ボブはおじいさんと過ごした家の縁側から頑として離れようとしません。無理にでも連れて行こうとすると、噛み付いてくる始末です。
家族はほとほと困って、犬のカウンセラーの三浦さんに相談をしました。
それから数日間、三浦さんはボブの縁側での様子をずっと観察しました。
そして、気づいたのです。
「ボブは、あの縁側で、おじいさんと過ごした幸せな日々を思い出しているんです」
ボブは大好きだったおじいさんとの時間を、一緒に過ごした縁側で、思い出していたのだといいます。それを知った家族はもう、ボブを縁側から連れ出そうとすることはしませんでした。ボブはその後もずっと縁側で、おじいさんとの思い出の時間を過ごしました。
それから数年後、ボブは安らかに死んでいきました。
その死に顔は、天国でおじいさんと会えて笑っているようだったそうです。
犬は「記憶の動物」です。大切な飼い主のことを一生忘れません。
そんな犬と飼い主の間にあった心温まる実話を収めたコミックエッセイ『犬が教えてくれたこと』は、温かい気持ちになれる一冊です。
(新刊JP編集部)
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