組織における上司・リーダーの役割は、部下をまとめて同じ目標に向かわせ、事業の結果に結びつけることですが、それだけではありません。性格も考え方も異なる部下個人が社会人として成長していくよう導いていくのも上司の大事な仕事です。
つまり、“育てながら結果を残す”ことが、優秀な上司の条件。
『35歳になったらマクドナルドでバイトしろ!』(泉忠司、青木尚士/著、角川フォレスタ/刊)によると、マクドナルドの人材育成には、このような優れたリーダーを育成する仕組みが整えられているそうです。
■ミスをした部下を「怒らない」
どんなに気をつけていても、人間である以上ミスは起こります。
上司である以上、部下がミスをしたら、今後同じ事態にならないように考えさせ、被害の軽減策を一緒に考えないといけません。その過程で部下を叱らなければならないこともあるはずです。
ただ、その時に決してやってはいけないのが、感情的に「怒る」こと。
上司の役割は、部下が同じミスを繰り返さないようにすればいいわけで、感情的になって怒る必要はまったくないのです。
また、部下を叱る時はタイミングが重要です。仕事をするうえでの道徳感や倫理観が欠けている時には叱らなければなりませんし、やる気を持って精一杯やったにも関わらず失敗してしまった時に叱っては、逆にやる気を削いでしまいかねません。
「感情的に怒らないこと」、「叱るタイミングを間違えないこと」は、優れた上司の条件なのです。
■自分から自己開示する
仕事での失敗をプライベートまで引きずってしまったり、プライベートの問題が仕事に影響してしまったりということは、誰にでもあること。
だからこそ、上司は部下のプライベートの部分も少しは知っておきたいところなのですが、部下によっては嫌がる人もいるため、かなり難しいことです。
それでも、上司の方から積極的にプライベートの素の部分を見せると、部下の方も親近感を持ってプライベートの部分を明かしてくれるかもしれません。
その意味では、上司は部下の前で社会人としてだけでなく、一人の人間としてどのような姿を見せるべきか、ということまで考える必要があるといえそうです。
■相手のペースに合わせて話を聞く
人を束ねる立場になると、部下に対してつい「上から目線」で話してしまいがちです。そして、そういう人ほど相手のことを考えずに、自分のペースで会話を進めてしまうもの。これでは、部下と信頼関係を築くことができません。
たとえちょっとした相談であっても、相手が求めているのはアドバイスや答えではなく、悩みを聞いて、理解してもらうことだったりします。
そんな時に重要なのは、彼らのペースで話をさせて、彼らに同調してあげること。主役は相手だということが伝わる態度で臨む必要があるのです。
相手としっかり向き合い、目を合わせて、話し手のリズムに自分を委ねて、聞き役に徹することで、相手も心を開きやすくなります。
褒めることも叱ることも、部下との間に信頼関係がないと成り立ちません。
9割がアルバイトという環境でも、責任感とやりがいを持って仕事に臨むスタッフを育て続けているマクドナルドの方法は、多くの管理職やリーダーにとって、貴重な教材となるはずです。
(新刊JP編集部)
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