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中村江里子が明かす 「なんで?」なパリの日々

 「パリ症候群」という言葉を知っているでしょうか。フランスのパリに憧れて、旅行をしたり、移住をしたりした外国人が、あまりのギャップに衝撃を受け、ショック状態に陥る状態を示す言葉で、中には病気になってしまう人もいるといいます。

 元フジテレビアナウンサーの中村江里子さんは、12年前の2001年にフランス人のシャルル・エドワード・バルトさん(シャールさん)と結婚し、生活の拠点をパリに移しました。しかし、パリに行ってからは、文化の違いから、ショックを受けることが一日に何度もあったそうです。
 『12年目のパリ暮らし』(ソフトバンク クリエイティブ/刊)は、中村さんがフランス・パリでの生活の中でのカルチャーショックをまとめた一冊。実は2012年3月にフランスで「“Naaande !?”(ナンデ!?)」というタイトルで出版されており、それを“逆輸入”する形で、日本でも書籍化されました。
 今回は、本書の中から中村さんの「ナンデ!?」をご紹介しましょう。

■待ち合わせの時間になっても相手は来ず…
 日本では、待ち合わせの時間に5分でも遅れそうならば、何らかの手段で連絡をし、お詫びします。
 しかし、中村さんが初めて待ち合わせをしたときのこと、約束の場所にいても全く待ち合わせ相手は来ません。自分はもしかしたら勘違いしている? 相手がもしかしたら事故に合っているかも? 不安に苛まれながら30分ほど経ったとき、待ち合わせの相手が「はじめまして!」と笑顔でやってきました。
 ビジネスの会議でも、時間通りに始まることはほとんどなく、20分、30分廊下で待つことはザラ。また、ミーティングが始まったと思ったら、全く準備されておらず、「残りは次の会議で決めよう!」と終了してしまうことも。
 日本人からしてみれば、「なめられているんじゃないか」と思うようなことばかりですが、確かに海外では、時間に対してそこまで厳密ではない光景を目にします。例えば電車が遅れることは普通にあることですし、それに対して誰も文句は言いません。もしかしたら、日本人が時間や礼儀、マナーなどに厳し過ぎるのではないか…と錯覚してしまいそうになります。

■“お客様は神様”じゃなかったの? サービスの違い
 まず、タクシー。日本では、よほどのことがない場合、乗車を断られることはありません。しかし、パリではタクシー運転手の勤務終了間際になると、運転手の帰宅方向と別の方向に行きたいとお願いしても「そちらには行きません」と乗車を断られるそうです。他に、至近距離の移動も断られるそうで、日本のタクシーに対するイメージとは少し違います。
 次に、デパートです。閉店時間近くにパリのデパートに行くのは中村さん曰く、お勧めできないそうです。なぜなら、店員は自分が疲れていると、それを客にわかるように態度で示すからです。視線を合わせてくれなかったり、とても忙しそうにして、誰もお客に近づこうとしません。話しかけると、「私は疲れているの!」と言わんばかりの、かなり不躾な対応をされることも…。
 もちろん優しい店員もいますし、時間帯によっても機嫌は変わってきます。何はともあれ、相手が不機嫌だったとしても、それは自分のせいじゃない、と思ったほうがよさそうですね。
 また、トイレでも中村さんの「ナンデ!?」がこだまします。
 中村さんが夫のシャールさんに連れられてパリのライブハウスへコンサートを観に行ったときのこと、女子トイレには「どれだけトイレの数が少ないの?」と思うような、とんでもない長蛇の列ができていました。ようやくトイレの中に入ると、そこはとにかく騒がしい空間で、女の子たちのおしゃべりは個室に入ってからも続きます。そして、やっと個室が空いてドアを開くと…そこには、“理解できないほどの惨状”が広がっていたそうです。
 結局、そのトイレを使うことができなかった中村さんは、シャールさんのアドバイスを受けて、近くのカフェにトイレを借りに行きます。しかし、そこでもトラブルが…。「お客様しか使えません」と言われ、カフェを一杯オーダー。ようやくトイレに辿りついたと思ったら今度はトイレが詰まっていて使えない……。きれいなトイレに慣れている私たち日本人ですが、不衛生な出先のトイレがいかに多いかが、エピソードとして語られています。

 本書ではパリで暮らし始めてから12年間の中村さんの「ナンデ!?」が詰め込まれており、日常生活から、結婚式や年越しなど、風習・文化に至るまでさまざまなカルチャーショックを知ることができます。

 光の街、世界で一番美しい街、ロマンティックで洗練された街…。そう胸躍らせて、フランスの地に降り立つと、迎えてくれるのは、薄暗いシャルル・ド・ゴール空港と不機嫌なタクシー運転手。パリ症候群はそこから始まるので、がっかりしないようにパリに行く前には読んでおきたい一冊です。
 また、本書を読んでパリの魅力を感じることができれば、さらにパリライフを楽しむことができるかもしれません。
(新刊JP編集部)

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