ビジネスに数字はつきもの。
売り上げや利益はもちろん、客数や単価など、あらゆるところに数字が出てきます。
だからこそ、「ビジネスパーソンは数字に強くなりなさい」といわれるわけですが、売上高や利益を眺めているだけでは、有効な施策を導き出すことはできません。
『数学女子 智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日本実業出版社/刊)は、数学科出身の後輩社員が、文系出身でセンスと経験だけを頼りに仕事をする先輩社員をスパルタ的に指導し、デキる職場のリーダーへと変身させるビジネスストーリー。
2人のテンポよいやりとりと、思わず笑ってしまう絶妙な掛け合いを読み進めるうちに、ビジネスに必要な数字の使い方を身につけることができます。
今回はその中から、2つのポイントを紹介してみます。
■「平均値」に潜む落とし穴
ある店で購入された商品の値段の平均が1000円だった時、「じゃあ1000円前後の商品をたくさん仕入れたら、もっと売り上げが上がるにちがいない」と考える人は、残念ながら平均の意味を理解できていません。
なぜなら、1000円の商品が10個売れても平均は1000円ですし、3000円の商品が2個と500円の商品が8個売れても、平均は1000円になるからです。
つまり、平均が1000円という数字だけを見て、それを「一番売れている商品の価格」だと判断するのは危ういことであり、「平均」では顧客ごとの購入商品価格のばらつきまではカバーできないため、“「購入商品平均価格」が1000円だから1000円前後の商品を増やせば売り上げが上がるはず”と考えてしまうと、大失敗につながってしまうのです。
■売上が伸びる商品がわかる!
たとえば、カップアイスがよく売れる店があったとします。カップアイスを求めて店にやってくるお客様に+αの買い物をしてもらうためには、ほかにどんな商品をオススメすればよいでしょうか?
ソフトクリームがよいのでは? 炭酸飲料が売れるのでは?
いろいろと「予想」はできるかもしれません。この「予想」を「予測」に変えるのが「相関係数」です。
エクセルを使って商品ごとの関係(相関)を見てみれば、カップアイスが売れたときに同じように売れ行きを伸ばしている商品を数値で見つけることができます。
もしかすると、意外な商品とカップアイスの動きに強い関係があることに気づけるかもしれません。そうすれば、販売機会を逃さずに済み、売上アップにつながることでしょう。
米国で話題になった一説ですが、ある店ではベビー用のおむつと缶ビールの売れ行きに関連を見つけ、店頭で一緒に並べたところさらに売れるようになったとか。
ママから買い物を頼まれたパパが、ついでに缶ビールを買っていくのだろうというのが一般的な考察のようです。真実だとするならば、これこそまさに数字のチカラでしょう。
このほかにも、いま注目度の高い統計の簡単な使い方、数値を分析する基本、プレゼンテーションでのグラフの使い方など、実践的な内容が本書ではきっちり押さえられています。
難しいイメージがあり、敬遠されがちな数字を、易しく噛み砕いて説明しており、小説を読むようにストーリーを追うだけで、ビジネスに汎用性の高い数字の扱い方を身につけることができるため、自分の働いている店舗や会社の商品で試してみたくなるはず。
数字を使いこなせるようになれば、あなたの職場での発言力、説得力は格段にあがります。自分をさらに成長させるためにも、普段から物事を数字で考えるクセをつけておくと、いずれ大きな財産になるのでは。
(新刊JP編集部)
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