毎日の献立や台所回りの管理など、主婦にキッチン関係の悩みはつきもの。
こんな悩みを専門家はどう考えているのでしょうか。
今回は『タニアのドイツ式台所管理術』(集英社/刊)の著者で料理研究家の門倉多仁亜さん(以下、敬称略)に、台所仕事の基本と心構えについてお話を伺ってきました。今回は後編です。
―料理をあまり作り慣れていない人だと、レパートリーが少なく、同じメニューの繰り返しになってしまいがちです。料理にあまり時間をかけられない人が、レパートリーを増やしていくためにはどうすればいいのでしょうか。
タニア「作り慣れている料理の食材をアレンジしてみると、料理の雰囲気も味もかわります。例えばいつもいんげんの胡麻あえを作っているなら、いんげんをアスパラガスにかえてみるとか。鶏の照り焼きを作り慣れていれば、食材はブリでもいいわけですし、ハンバーグを照り焼き風にしてみるとかもやってみてはいかがでしょう。私は調味料をアレンジしてみるのも好きです。砂糖を使うなら、代わりにメープルシロップを入れてみるとか。砂糖と酢を入れるレシピなら、チャツネで代用してみるとかもできますね」
―栄養バランスが偏らない献立を作る秘訣がありましたら、教えてください。
タニア「自分のなかでルールを作ることがラクではないでしょうか? 私は、毎日タンパク質を摂取するために、肉と魚は交互に料理するように心がけています。また、野菜は何より彩りよく。自分の好きなものばかりでなく、いろいろな野菜にチャレンジする。あとは季節感を大事にすれば、変化ができていいと思います」
―料理を作るにあたって摂取カロリーなども気になるところです。食べ応えを残しつつ、カロリー控えめな食事を作る方法はありますか?
タニア「油をとりすぎない、食べ過ぎないのはもちろんのことですが、噛む事を意識することが大事ですよね。食材を小さく切り過ぎない。野菜なら少し固めに茹でる。噛むことって、めんどうくさいので嫌がる人も多く、柔らかい=おいしいと言う方もいらっしゃいます。でも噛むことによって脳が刺激され、満腹感を得られるわけですから、柔らかい物ばかり食べていては(飲み込んでいては)満腹感はあまり得られません。また、噛む事によって口から出る唾液も、食材といっしょに胃腸に入って消化を助けてくれるので、とても重要だそうです。私も、意識して噛む事を心がけたいといつも思っています」
―料理自体は好きでも毎日作ると面倒、という人も多いかと思います。飽きたり挫折することなく、毎日楽しく料理するためにはどんなことが大事ですか?
タニア「パーフェクトをめざさないこと! そしてアレンジすることを覚えれば、いろいろな味の発見があって楽しいですよ。料理って結構クリエイティブなんですよ。たまたま何かが足りなくて、代用したものが合わずにおいしくない料理になってしまう事もあるでしょうが、それはそれでいいと思うんです。それでひとつ勉強ができたわけですし、家族との会話のネタにもなります。失敗しながら、少しずつ料理がラクに作れるようになるのだと思います」
―最後になりますが、台所仕事が苦手という方々に向けてメッセージをお願いします。
タニア「最初からなにもかもすべてできないといけない、とは思わずに、まず基本から抑えていきましょう。自分と家族にとって一番大事なことはなにかを考え、その中で、できる最低限のことだけやっていけばいい。そのルーティーンに慣れて、台所仕事が少しラクになってきたところで、料理のレパートリーを増やしたり、きれいなお皿を買って盛りつけを頑張るなど、次にできることにひとつづつチャレンジしてやっていけばいいのだと思いますよ」
(新刊JP編集部)
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