世の中にはさまざまな人がいる。普通の道を歩いている人もいれば、脇道にそれた人もいる。そして、好きな本や影響を受けた本もそれぞれ違うだろう。
じゃあ、“あの人の好きな本”って一体どんな本!?
というわけで、世の中のちょっと変わった人や突き抜けている人、気になる人に好きな本についてインタビューしてみようという、新刊JPニュースの新連載「あのヒトの好きな本を聞こう!」がスタート!
第1回目となる今回は、今年、創業18周年を迎えた老舗アダルトビデオメーカー、ソフト・オン・デマンド(以下SOD)の女子社員である田口桃子さんにお話をうかがうことができた。田口さんは入社7年目で、WEB事業本部所属。そんな彼女の好きな本とは…!?
◇ ◇ ◇
―ではさっそく質問していきましょう! 普段はどんな本を読んでいるんですか?
「実は私、ほとんどエロ系の本しか読まないんですよ」
―そうなんですか! さすがSODに勤めているだけありますね~。エロ系といってもいろいろありますけれど、ジャンルは分かれますよね。官能小説とか、写真系とか、体験記とか。
「なるべく字の書いてある本を読もうと思っています(笑)家の近所の書店に、性風俗やサブカルチャーの本が並んでいるコーナーがあって、そこがお気に入りです。そこで眺めて、気になったら買うって感じですね」
―具体的にはどんな本を買うんですか?
「お気に入りは、やっぱり『名前のない女たち』シリーズ(*1)ですね。あとは『売春未満』という本で、素人投稿に応募する女性に取材して、その半生を追うドキュメンタリーなんですけど」
(*1)宝島社から出版されている、「企画」系ビデオに出演するAV女優を追ったドキュメンタリー
―なんか仕事にも通じていますね、そのチョイス。
「あー、そうですね。いうなれば私たちはその人たちにご飯を食べさせてもらっているわけですよね。そんな業界を見ていると、出ては消えて、出ては消えてっていうサイクルがすごく速くて、円満にAV業界を卒業できる人は多くないんですよ。急にいなくなったり、連絡が取れなくなってしまう人もいて、彼女たちはどんな人生を歩んでいるんだろうって思うんですよ」
―普段見ることのできない彼女たちの人生が語られていますからね。では、影響を受けた本というくくりで言うとどんな本ですか!?
「これは、井浦秀夫さんのマンガで『AV烈伝』です。4巻目に高橋がなりが登場しますよ(笑)女優だけじゃなくて、監督やスカウトマンみたいな業界に携わる人たちの人生を漫画で描いています」
―さりげなくSODの元社長の名前を出してきましたね(笑)これは、ドキュメンタリーと漫画の違いはあれど、『名前のない女たち』シリーズにも通じるものがありますよね。
「そうなんですけど、基本的に『名前のない女たち』って暗い終わり方が多くて、未来があまりないんです。でも、『AV烈伝』に出てくる人たちは、最後にちゃんと希望を見せてくれて、かっこいいんですよね。この会社に就職するときもこれを読んで気持ちを高めたし、仕事で詰まったときも心を盛り上げるために読みますよ」
―じゃあ、好きな作家さんっていますか?
「最近は、サタミシュウ(*2)さんかな。官能小説も読むんですけど、官能っぽい作りをしながらかなり女性でも読みやすいですよね」
(*2)覆面作家としてSM青春小説を角川書店から出版。『私の奴隷になりなさい』(原題『スモールワールド』)は大ヒットし、映画化もされた。
―女性から見た官能小説ってどういう印象なんですか?
「私個人の感想ですけど、やっぱり男性主観だと思うことが多いです。女性の感覚に言及している作品が少ない気がしていて、例えば、入ってくるシーンでも、『めりこんできて…』みたいな女性の感じ方がもっとあればいいなと思います。多分自分が書けば、そうなるでしょうね(笑)」
―それはそれで男性が読んでも興奮しそうですけど(笑)
「サタミさんの作品は男女の中間の目線で描かれるし、ストーリーもしっかりしているから、違和感がないんですよ」
カメラマン:あの、アダルトビデオって見ますか?
―おいっ!話に割り込んでくるな。
「はい、もちろん見ますよ(笑)」
カメラマン:一連の行為の中で、どのあたりが一番興奮しますか?
「私はこの業界が長いからかなり特殊だと思うけど、男性と同じですよ。でも、オーラルセックスは飛ばすかな(笑)。あ、面白いのが、私が今担当しているのが『GIRL’S CH』っていう女性向けの無料アダルト動画サイトなんですけど、人気動画を調べてみると、意外と潮吹きが人気ジャンルなんですよ」
カメラマン:潮吹きですかァ…。興味があるんですねェ。
「あると思うし、そういう経験したことある人も少ないんだと思います。本当に潮なんて吹くの?みたいな(笑)あと、1000本以上動画を掲載していて、セックスがあるものとないものがあるのですが、断然見られているのはセックスありの動画です。結構みんな激しめが好きなのね~って。女性向けってソフトなものだったり、ドラマがあるものが好まれるイメージがあるんですけど、この動画サイトの傾向を見ていると、全員がそういうわけではないんだなと気づかされますね」
◇ ◇ ◇
もともと映画が好きだった田口さんは、高校卒業と同時に愛知県から上京。学生時代に瀬々敬久監督の作品を通じてピンク映画の存在を知り、その世界にどっぷり浸かりながらピンク映画の脚本家の夢を追いかけたそうだ。
SODとの出会いは就活時。テレビ局や映像制作の企業を受けるも、「映画における性描写」という卒業論文テーマを熱く語ったせいか落選。そして、「他の企業にはない熱さを感じた」というSODに入社することになった。
入社後は部署を転々とし、現在は「女性向け無料エッチ動画サイト GIRL’S CH(ガールズシーエッチ)」という女性向けアダルト動画サイトの運営を行っている。
少し前とはガラリと変わり、女優たちがツイッターやブログ、イベントなどでファンと交流をするなど、アダルトビデオの業界はとても近くなった。その業界の老舗メーカーで、今日も田口さんは仕事としてAVやユーザーと向きあっている。
(新刊JP編集部/「あのヒトの好きな本を聞こう!」取材班)
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