2012年の国土交通省のデータによれば、日本の人口のうち、10%強がマンションに住んでいるといいます。意外に少ないなと思った人もいるかもしれませんが、都市部になるにつれて比率は高まり、都内では4人に1人がマンション住まいであるといわれています。
この記事を読んでいる人の中には、マンションに住んでいる人も多くいることと思いますが、毎月払っている「管理費」と「修繕積立金」が本当に適正価格なのか、考えたことはあるでしょうか。
『あなたの資産を守る! マンション管理見直しの極意』(村上智史/著、自由国民社/刊)によれば、実は「管理費」は払い過ぎている可能性が高く、「修繕積立金」は将来足りなくなるケースがままあるといいます。
管理費は、管理人や清掃員といったスタッフを置いたり、光熱費や保険料を支払ったりするのに使われます。いわば、ランニングコストです。また修繕積立金は、主に12年に1度のペースで行われる大規模修繕工事を見据えた、将来への備えです。つまり、マンション全体の貯金です。
マンションを買う・住むとなると、つい何十年も続く住宅ローンの支払いにばかり気をとられがちですが、それに加え、管理費と修繕積立金で毎月数万円のお金が必ず出ていきます。しかもこの出費は、住宅ローンを払い終わった後でさえ続きます。1年間で数十万円、数年間で数百万円......トータルすれば人生で何番目かの大きな出費になる、といっても過言ではありません。
そんな大きな出費ですが、この金額がどうやって決まり、相場の金額だと納得して払っている人は、果たしているでしょうか?おそらく、いないと思います。マンションに入居した時にはすでに管理会社は決まっており、管理費も修繕積立金も設定されているからです。
競争に晒されることなく、分譲会社の系列管理会社のさじ加減で決められた管理費の額がどうなるか......簡単に想像がつくのではないでしょうか。かたや、もしも修繕積立金をそれ相応に高い金額に設定したら、どうなるでしょうか。予算と住宅ローンの金額を天秤にかける購入者の負担はさらに増え、マンション購入を思いとどまる十分な理由になるでしょう。たとえそれが将来本当に必要な額であっても、です。それが上で述べた、管理費は払い過ぎ、修繕積立金は足りなくなる理由なのです。
本書にはこうしたマンション管理の現状と、具体的にどこをどう見直せばいいのか、項目をピックアップして解説しています。そうはいっても、マンションは一軒家と違い、他人との共有物です。「管理組合の役員ましてや理事長なんて、どうにかしてならずにすませたい......」という人も多いことでしょう。実際、組合業務に無関心な住民は多く、役員のなり手がいないことは社会問題になっています。この問題を解決するために、コストと手間を今より増やさずに、プロに依頼する方法等も紹介しています。
人生で一番大きな買い物、家。いつまでたっても余計なお金を払い続けている......ということがないように、自分のマンションのことが気になったら、まずは知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
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