部下の育成は、上司にとって悩みの種。どうすれば部下が成長して一人前になってくれるのか、頭をひねる毎日を送っている人も多いはずです。
『「できる上司」と「ダメ上司」の習慣』(明日香出版社/刊)はそんな上司たちに向けて、「できる」上司と「ダメ」上司の50の違いを書いた一冊。実は、著者で人材育成の研修などを行っている室井俊男さんは、本書で書かれている“ダメな上司”をかつての自分自身と重ねているといいます。
室井さんへのインタビュー、後編をお伝えします。
(新刊JP編集部)
■「部下たちが動きやすい職場をつくることが大事」
―本書を執筆されるときに気を付けた点を教えていただけますか?
「出来るだけ自分のありのままの出来事をあからさまにそのまま書こうということを意識しました。正直、思い出すのに苦労しましたし、思い出したくないこともあって余計に苦労しましたね。葛藤からか、ほとんど丸一日何も進まない時もありました」
―多くの人は自分の上司の姿を見て、どんな上司がいいのか学んでいくと思います。しかし、時代が変わることであるべき上司の姿も変わってくると思うのですが、そうした時代の流れに対応できるようにするにはどうすればいいのでしょうか。
「先ほどもお話ししましたが、自分の部下をよく観るということですね。部下とチームをよく観察するということですね。また、部下の将来目指す姿を引き出してあげることです。そして、必要と思われるサポートをしていく。自分の経験だけを全て正しいと思わないこと。その上で柔軟に試行錯誤をしていくことです」
―また、室井さんは大学で学生を相手に講義を行っていらっしゃいますが、学生たちと接するなかで、今の若者はどんな性質を持っていると感じていますか?
「私の頃よりも、すごく周りに気を使っていますよね。友人同士、本音で話をしているのかという点で疑問ですし、本人たちもわかっていないかもしれないです。コミュニケーションを取るのは、ある意味すごく上手だし親しみのある雰囲気づくりもしますよね。だけど浅い会話が多い。宿題を出してもネットで調べてわかったつもりになって終わり。
周りから突出したり、本音のぶつかり合いみたいのはできないのか、やらないのかというところも感じます。失敗を恐れるのも根は同じです。
ただ、私の体験談や失敗談を聞きたがりますし、相談にもよくきたりします。そういう意味では関わりを求めてはいますよね。どんどん人生の先輩として話をするのは良いと思います。
指示をする時に、一つ一つどうしてそれが必要なのか、なにが大事なのかを必ず説明しています。そうすることでも、行動が急速に変わっていきます」
―本書には書かれていない部分で、部下や新入社員たちとの接し方について気を付けるべきところがあればお聞かせください。
「いま、思いつかないですね」
―本書をどのような方に読んで欲しいとお考えですか?
「これから上司になろうという人。自分の上司に対して不満を持っている人。今まさにマネジメントで悩んでいる人は解決のきっかけにして欲しいです。
対象年齢層は、これから上司になる20代30代の方は先に読んでおけば、いざうまくいかない時に臨んで対応できると思いますし、いま、40代50代の上司という人も、研修でお会いする中で感じるのは、きっとヒントになる方も多いでしょう。いくつになっても改善ができます。一生成長するという気概を持ちさえすれば。是非一緒に成長し続けましょう」
―このインタビューの読者の皆さまにメッセージをお願いします。
「今、まさにマネジメントに不安のある方は、部下やチームに愛情を持っているかどうか。そして正しい愛の示し方ができているかどうかを振り返って欲しいです。自分の我を押し付けるのではなく、部下やチームをなって欲しい状態に導けているかどうか、本当はそうしたいはずなんですよね。それを可能にする言動をしているかを(私も含めて)日々見直す必要があります。
日々これでいいのかと試行錯誤していくことが、実は部下やチームに対する愛情だと思います。
私の試行錯誤の有り様をこの本には書きました。読者のみなさんには是非その上を行って欲しいのです」
(了)
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