今年、開園30周年というアニバーサリーイヤーを迎えた東京ディズニーランド。毎日訪れるたくさんのゲストたちによって活気が溢れ、たくさんのハピネスが生まれています。
さて、「夢の国」といわれるディズニーランドですが、それはゲストだけではなく、キャストたちにとっても同じこと。
働いている従業員の9割がアルバイトで時給も高くなく、ルールも厳しい。それでも、ほとんどのキャストが「働いて良かった!」と思える場所――そう語るのは、かつてディズニーランドでキャストとして働き、今はその経験を生かしてコンサルタントとして活躍している香取貴信さんです。
香取さんが監修を務めた『ディズニーランドであった心温まる物語』(あさ出版/刊)はかつてディズニーランドでキャストをしていた有志たちが実際に体験した、"奇跡が起きる瞬間"を集めたエピソード集で、現在までに8万部を売り上げています。ここでは、その中から花火にまつわるエピソードをご紹介します。
ディズニーランドでほぼ毎晩上がる花火。楽しみにしているゲストも多いはずです。
ある日、とあるキャストが「ピーターパン空の旅」というアトラクションの外で待ち時間の案内をしていると、一組の家族がやってきました。
両親に子ども2人、そして、車いすに座ったおばあちゃんの5人です。
そして、車いすに乗っていて中に入れないおばあちゃんを残して、両親と子ども4人はおばあちゃんを残してアトラクションに入って行きます。
一人残された形になってしまったおばあちゃんに、キャストは声をかけますが、笑顔を浮かべて「待っているときはヒマだけど、緑はとてもきれいに手入れされているから、観ているだけでも気持ちがいいわ」と気丈に振る舞います。
2人でお孫さんの話をしていると、あの時間が近づいてきました。そう花火です。そのキャストは機転を利かして、おばあちゃんの車いすを花火の見える方向へと動かします。空にはきれいな花火。それを見ているおばあちゃんの表情はうっとりとしていました。
花火が終わる頃、アトラクションから家族がおばあちゃんの元に戻ってきました。
「おばあちゃん、花火観たの? いいなあ!」とはしゃぐ子どもたち。おばあちゃんは心から花火を楽しんだようで、こんな言葉をキャストにかけました。
「ありがとう。花火を一緒に観られて幸せだったわ」
このエピソードからうかがえることは、ディズニーランドはどんな人でも、いかなるとでもその場を楽しめる仕掛けがあるということです。
おばあちゃんは「ピーターパン空の旅」に入ることはできませんでしたが、パークの自然を楽しみ、そして家族で唯一、花火を楽しむことができました。また、キャストとの会話も、おばあちゃんを楽しませたアトラクションの一つです。
ディズニーランドに関わるすべての人たちが、まるで一つのチームになって、全員でハピネスを分かち合っているのです。
本書にはこうしたエピソードが26作掲載されています。また、印税は全額、東日本大震災で親を亡くした子どもたちをディズニーランドに招待する夢の国へのパスポート代として使用されるそうです。
ディズニーランドのハピネス溢れるゲストサービスの真髄がつまった、まさに心が温まる一冊です。
(新刊JP編集部)
■「おばちゃんと花火」のエピソードを動画化して公開中!
http://www.youtube.com/watch?v=JfPricXn_VA【関連記事】
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