名選手が必ずしも名将になるとは限らないとはよく言うものですが、会社組織でもそれは同じです。優秀なプレーヤーだったとしても、そのまま優秀なマネージャーになるとは限りません。「できる人」と「伸ばす人」は違うのです。
もちろん、リーダーに向いているのは「伸ばす人」です。「できない人」を「できる人」に変身させるのが上司の大きな仕事ですが、部下を伸ばせない「できる人」にとってはかなりの難題です。では、どうすれば「できる人」に変えることができるのでしょうか。
ここでは『「できる人」で終わる人、「伸ばす人」に変わる人』(吉田典生/著、ソフトバンククリエイティブ/刊)から、「できない人」を「できる人」にするための、上司としての視点の変え方をご紹介します。
■「わからない」「できない」が価値だと思う
「できる人」から見て、「できない人」がなかなか成長しないのはもどかしいはずです。もちろん、できない理由は分かっていても、あまりにもできないとなると、事態を重く受け止めてしまいます。
しかし、「伸ばす人」は全く違う考え方をします。相手の"?"を価値だと思っているのです。人は"?"がないと成長できません。「わからない」「できない」から覚えようとします。「伸ばす人」は相手を期待を持って見守り、その可能性を信じてあげます。「できない人」が"?"を持ち続けている限り、信じてあげましょう。
■いい加減であいまいな話を大事にする
「できない人」がだんだんと成長を見せ始めると、ある兆候が見えてきます。それはあいまいな話が増えてくるということです。普通、あいまいな言葉というのは嫌がられるものですが、この場合は、かなり良い兆候といえます。
「できない人」は、難題に接した時、まず「これは無理」と考えてしまいます。しかし、成長を見せてくると「無理な気がする」「できるかどうかわからないけど」「できるかもしれない」と言葉が変わっていくのです。
「伸ばす人」はこの変化を対話によって引き出します。「できる」と「できない」の中間の言葉を大事にすること、それが「できる人」に伸ばすための秘策です。
■マイナスポイントから目を逸らさせる
ここまでは対話によって、「できない人」に「できる」という意識を植え付ける方法を紹介してきました。しかし、それでも上手くいかないという人も多いはず。そのようなケースの場合、「できない人」を「できる人」にさせようと意識過剰になっていることが多いと著者の吉田さんはいいます。
「伸ばす人」は「できない人」に対して、"別に君は変わらなくていいよ"と思っています。普通であれば「できない」部分を指摘し、できるようにしていくものですが、そうしても「できない人」は指摘されたマイナス点ばかり気になってしまい逆効果なのです。
だから、「伸ばす人」はマイナス点を指摘するのではなく、ロールモデルを用意し、「あの人だったらどうするだろう」ということを相手に考えさせるのです。そうすると、そこから「気づき」が生まれ、「できる人」に一歩近づくはずです。
「わからない」「できない」を「わかった」「できた」に導くのは、実はとても難しいこと。その上で重要なのは、自分本位で振りまわさず、相手とちゃんと対話をして、成長を見守るということです。
自分自身も「できる人」から「伸ばす人」に変わり、リーダーとして一皮剥けるためにも、部下と一緒に成長するつもりで本書を読んでみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
【関連記事】
・
「目標達成」できる人とできない人の違い・
すぐ行動できる人が成功できる理由・
どうして片づけができる人は仕事もできるのか?・
どうして仕事ができる人はゴルフも上手いのか?「できる人」→「できる上司」に脱皮するための術とは?