電車の中で疲れ果てた中年サラリーマンを見かけると「こうはなりたくない」と思ってしまった経験はないだろうか。
しかし、いざ就活を始めてみると、中年サラリーマンが急に偉大な存在に見えてきたりする。そして自分が目指している企業、大企業や有名企業の社員もまぎれている。経験してみると、世の中のサラリーマンへの見え方が違ってくるものなのだ。
そんな就活生ならではの「あるある」というものがある。『就活あるある 内定する人 しない人』(主婦と生活社/刊)は、著者の武野光氏が、就活中にツイッターでつぶやいて、ブログ『無能の就活。』にまとめていた「就活あるある」を再編し、コラムとイラストを加えたものだ。
就活を始める際、誰もがやるのが自己分析。自分の性格、長所短所、アルバイトやゼミ、学生時代何に打ち込んだか、今までどう生きてきたか...あれこれと分析する。そして、自己分析の結論がいつも「自分はカス」になって死にたくなる、という悲しいことになってしまう――というのも就活あるあるの1つ。実際はそんなことはないはずなのだが、いろいろ考えに考えた自己分析の果て、このような結論に自分を導いてしまう人は多いのではないだろうか。
こんな就活あるあるに、武野氏は「自己分析は自分の人柄を他人に伝えるために『設定』するものです。人間なんて多面的なんだから一言で表現できるわけないんですよ。人さまに見せる、そのためだけに考えてください。就活全般に言えますが、何をやってもしょせん期間限定ですから、思いつめないように。」とアドバイスしている。就活の際に自己分析するのは自分を見つめ直すいい機会ともよく聞くが、就活用に割り切った考え方も必要なのだろう。
本書の冒頭で武野氏が「あー、何でこんな時代に生まれてんだよ、景気良い時代が良かったなー、という就活生の気持ちを代弁することができているはずです」と書いているように、2012年度卒として就活を経験し、サラリーマン1年目の22歳(執筆当時)の武野氏の就活あるあるは、数ある就活本の中でも、就活生のリアルな実態を描いている。
たくさんの就活あるあるが掲載されており、行き詰ったときには「自分だけじゃないんだ」と気晴らしになるはずだ。
(新刊JP編集部)
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