経済に改善の兆しが見えてきた日本。しかし、まだまだ家計は苦しいという家庭も多いはずです。
さて、これだけニュースやワイドショーなどで経済不況や家庭の節約術などが報じられていれば、子どもたちも不安になるのではないでしょうか。「もしかして、うちって貧乏なのかも」と思ってしまうかも知れません。
『お金と上手につきあう子になる育て方』(自由国民社/刊)の著者で、マネーカウンセラーの鶴田明子さんは本書の中で、子どもにお金について質問されたときの適切な返し方を説明しています。
■「うちって貧乏なの?」と聞かれたら...?
もしこの質問をされたとき、「経済的には苦しいけれど何とかなる」と考えている人と、「お金がなくて本当に困っている」という人で、流れる空気は大きく異なります。特に問題なのは後者。子どもに嘘をつきたくない、けれど、どう答えていいのか分からない。動揺はすぐに子どもに見抜かれてしまい、不安にさせてしまうものです。
そんなときは、動揺を深呼吸でかき消し、にっこりと笑顔になりましょう。そしてゆっくり、「どうしてそう思うの?」と聞くのです。子どもは何も考えずそう言ったのかも知れませんし、ちょっと不安になっただけなのかも知れません。鶴田さんは、まずは、子どもの気持ちを聴くことが大事だと指摘します。
また、もし動揺が収まらないときは、「ごめんね、今はちょっとお話できないの。後でまた、お話しようね」と言って、ひとまず間を明けましょう。ただし、必ず後で子どもと向き合い、じっくりと話をしましょう。
お金がないというのは、本当につらく、苦しいことです。子どもは、自分の友達と比較してくるかも知れません。でも、そこで「そんなこと言っても仕方ないでしょう」と逆に怒ってしまってはいけません。「大金持ちとは言えないかもしれないけど、毎日、家族が生活していくお金はあるんだよ」ということを伝え、子どもの気持ちを理解し、受けとめてあげましょう。
■「お金がいっぱい欲しい!」と言われたら...?
もう一つ、お金関係で子どもからよく言われるのが「大金持ちになりたい」という言葉。では、もし子どもから「お金がいっぱい欲しい」と言われたら、親としてどう返すべきなのでしょうか。
まず、そう言われたら多くの親は二つの感情のどちらかを感じるはずです。一つは「なんて子なの。お金に執着する子になったら大変」というもの。もう一つは「なかなか頼もしいことを言うわね。将来楽しみだわ」という気持ち。鶴田さんは、実はこのときのあなたの反応がそのままお金に対する潜在的なイメージなのだといいます。
しかし、その反応をそのまま出すのではなく、ここでも深呼吸をして「にっこり」と笑顔になりましょう。そして、「どうして、そう思うの?」と気持ちを聴いてあげてください。じっくりと話を聴いてあげたあとで、必要だと思えば、親として伝えておきたいことを伝えましょう。お父さんやお母さんの毎日の仕事や銀行、会社の仕組みまで話を広げることができて、子どもが社会を学ぶ上でとてもよい機会になります。
子どもは大人が考える以上に親の反応をよく見ています。だから、お金のことについて口にした時に怒られてしまうと、「触れちゃいけない話題なんだ」と、お金の話題を避けてしまう可能性があります。
しかし、子どもが成長する中で、家族でお金の話ができるに越したことはありません。そのためにも本書で勧められている「笑顔」を大事にし、みんなでお金について語り合える雰囲気づくりをしていくことが親に求められているといえそうです。
(新刊JP編集部)
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