多くの方がご存じのとおり、私たちが読む本には著作権というものがあり、日本では実名、あるいは周知の変名(ペンネームなど)で書かれた著作物の権利は作者の死後50年間は保護されます。
この期間を過ぎた著作物は著作権が消滅し、誰でも複製し、場合によってはそれを販売できるようになるわけですが、2013年は室生犀星や吉川英治など著名作家の作品の著作権が消滅するということで、"青空文庫(日本国内において著作権が消滅した文学作品を収集・公開しているインターネット上の電子図書館)の当たり年"などといわれているようです。
しかし、"当たり年"は今年だけではありません。来年以降も続々と文豪たちの作品が著作権消滅を迎え、広く公開されていくはず。そこで今回は2014年~2016年に著作権が切れる作家をまとめてみました。
■2014年
・野村胡堂(小説家)―『銭形平次捕物控』『奇談クラブ』で有名。音楽評論家としての顔も持ち、レコード収集家としても知られています。
・山之口貘(詩人)―1959年に『定本山之口貘詩集』で第2回高村光太郎賞を受賞。フォークシンガーの高田渡によってたびたびその詩が歌われていた。
2014年は、この他にも長谷川伸(小説家)や久保田万太郎(小説家・劇作家)らの作品が著作権切れを迎えます。
■2015年
・佐藤春夫(小説家・詩人)―明治末期から昭和の長期間にわたり文壇で活躍。選考委員を務めていた芥川賞をめぐり、太宰治から受賞を嘆願する手紙を受けた話は有名。
・尾崎士郎(小説家)―新聞紙面で連載していた『人生劇場』がベストセラーとなり、20年以上続く大長編に。こういった長編が青空文庫で読めるようになると嬉しいですよね。
■2016年
・谷崎潤一郎(小説家)―言わずと知れた純文学の大家。『細雪』や『刺青』『痴人の愛』を読んだことのない人は、もう少し待つと無料公開されるかもしれません。
・江戸川乱歩(小説家)―日本の探偵小説のパイオニア的存在。子どもの頃『少年探偵団』シリーズに胸を熱くした人は多いはず。
梅崎春生(小説家)、高見順(小説家・詩人)の作品も、2016年に著作権が消滅します。名前の豪華さで言えば、本当の"当たり年"はこの年かもしれませんね。
現状の"死後50年"にあてはめると2021年に三島由紀夫、2022年に志賀直哉、2023年には川端康成の作品が著作権切れを迎えますが、著作権保護期間を死後70年にしようという動きもあり、今回取り上げた作家・詩人の作品がその通りに著作権消滅を迎えるかどうかはわかりません。
とはいえ、かつての文豪・詩聖の作品に気軽に触れられるようになるのは、読者にとっては大きな恩恵であるはず。
感心のある作家の作品がいつ著作権切れとなるのか、いささか悪趣味とも言えますが、その没年を調べてみると案外もう無料公開されているものも多いかもしれません。
(新刊JP編集部)
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