企業の顔といえば、やはり“社長”です。自社の事業や業界のこと、将来の会社像を堂々と語り、さらにその先に創造したい社会について語る社長の姿に惹きつけられ、あんな人になりたいと思って、入社を決めた人も少なくないのではないでしょうか。
ところが、この「ナンバー1」は、ある意味で選ばれた者しかなることができません。ある特殊な才能が必要だからです。そして、もうひとつ、あまり表舞台には出てこないけれど組織を飛躍的に伸ばす上での重要な役割を果たす存在がいます。それが「ナンバー2」です。
『No.2理論:最も大切な成功法則』(西田文郎/著、現代書林/刊)で著者の西田氏は、「優秀なナンバー1がいるのに潰れた会社はゴマンとあるが、優秀なナンバー2がいる会社で潰れたところはほ とんどない」といいます。目指すべき目標や理念を掲げ、その先頭に立って突き進むのは、むろんトップでありその力量は何より重要です。つまり、「夢見る 力」がナンバー1に必要な第一の才能です。
しかし、ビジョンを常に考えながら、それを具体的な行動に落としていくのは至難の業。そこで、実際に集団を引っ張るのがナンバー2です。
夢見る能力の高いナンバー1は、願望が強いからこそ、無茶やムリをしやすくなる。ワクワク状態だから細部の詰めがいい加減になり、現実を無視しやすい。だ からこそ、ナンバー2が優秀でない限り、会社の成長をのぞむことはできません。トップが掲げた目的・目標を実現するために、メンバーをまとめ、引っぱって 行く業務遂行がしっかりと機能していなければ、組織は発展できないのです。
だから、ナンバー1とナンバー2がいずれも優秀で、お互いの役割を上手く全うしながら噛み合うことができれば、組織は飛躍的に伸びていていきます。
<<ナンバー2への第一歩は「上司の期待通りに働く」>>
夢を語るナンバー1と、それを具体的な行動に落とすナンバー2。
自分はナンバー2のタイプだと思ってしまった人は、どのようにすればいいのでしょうか。ナンバー2といっても、そこにたどり着ける人は1人。超優秀な人間じゃなければなれないのでは…?
しかし、そうではありません。「ナンバー2」は本人が努力を積み重ね、意識して仕事をすることで、そこに到達できるチャンスは十分にあります。だから、新人や若手ビジネスパーソンにとっては格好の目標ともいえるポジションなのです。
まずは、自分が今所属しているチームや部署のナンバー2を目指してみましょう。
そのために大切なのが、「課長や係長、主任があなたに期待するように動くこと」。その部署やチームの仕事全体を一番よく知っている上司の期待通りに動くことが、ナンバー2に求められる能力です。
ナンバー1の夢や願望を達成するために、具体的な行動に落とすのがナンバー2です。ナンバー1の言うことをちゃんと理解することが求められるし、それを体現した形で行動しなければいけません。
自分のわがままや好き嫌いやこだわりを捨て、上司を立ててチーム全体が上手くいように努力する。これが出来れば、間違いなく出世できるはずと西田さんは言います。
<<ナンバー1とナンバー2、あなたはどちら?>>
また、西田さんは、学生起業家など、はじめからトップに立ってしまう社長たちを見た印象として、「頭の回転は速く、突破力はありますが、どうも運に粘りがない」「勢いはいいけれど、簡単にコケてしまう「挫折運」の持ち主が多いように思う」と述べています。
いきなりトップになる人は、下積みの苦労、縁の下の苦労をあまり経験していません。誰かのために自分を捨てたり、犠牲にするような訓練ができていません。だから、ここぞというときに、自分の欲望や好き嫌いが出て判断が狂ってしまうのです。
自分がナンバー1でそういう挫折運を避けたいなら、超優秀なナンバー2をつけたり、育てることがチームや組織を成功に導くために急務であるといえるでしょう。
西田さんの言葉を借りれば「夢見るアホ」が向いているナンバー1と比較して、ナンバー2には努力次第で誰でもなることができます。今の会社や組織では優秀 なナンバー2の存在が求められています。そうしなければいくらナンバー1がイノベーションを起こそうとしても、結局失敗に終わってしまいますから。
企業や組織、チームは一人では成立しません。夢やビジョンなんて考えることができない……そんな人でも、実務面でしっかりささえるナンバー2になることはできるはず。そしてあなた次第で組織は大きくも小さくもなるのです。
自らがトップになるナンバー1理論、もうひとつは組織を支えるナンバー2理論、あなたはどちらのタイプの成功者を目指しますか?
(新刊JP編集部)
【関連記事】
・
ダメダメな自分を変えるちょっとした工夫・
Facebookナンバー2の意外なキャリア・
都知事の参謀、“どん底”から抜け出す方法を語る・
うまい世間話は仕事を呼び込む社長と参謀、あなたはどっちのタイプ?