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「アンナ・カレーニナ」 レフ・トルストイ著、木村浩訳

 ロシアの文豪トルストイの最高傑作を、「つぐない」のジョー・ライト監督が映画化。米アカデミー賞を受賞した優美な衣装デザインと、流麗な演出が見もの。
 19世紀末のロシア。青年将校ヴロンキー(アーロン・テイラー=ジョンソン)は、モスクワ駅で出会ったアンナ(キーラ・ナイトレイ)の美貌に心を奪われる。彼女も彼の情熱に惹かれ、2人は激しい恋に落ちる。だが世間体を重んじる彼女の夫カレーニン(ジュード・ロウ)は、離婚を認めない。社交界も家庭も捨てたアンナは、罪の意識に苦しむが・・・。
 文庫本で3冊に及ぶ原作は、アンナとヴロンスキーの破壊的な恋だけが魅力ではない。トルストイは、理想主義的地主リョーヴィンとキティが、平和な家庭を築く過程に力を注いでいる。繊細な心理描写が秀逸で、男と女の幸福とは何だろうと考えさせられた。
 (映画評論家・垣井道弘)

書名:アンナ・カレーニナ
著者:レフ・トルストイ著、木村浩訳
出版:新潮文庫
定価:上巻788円、中巻987円、下巻882円

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