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「希望の国」園子温著

 「恋の罪」「ヒミズ」など衝撃作を連打してきた園子温監督が、原発事故に遭難する家族を描いた人間ドラマ。目に見えない放射能の恐怖が他人事とは思えない。
 20XX年、架空の町。酪農家の小野泰彦(夏八木勲)は認知症の妻・智恵子(大谷直子)や息子夫婦(村上淳、神楽坂恵)と平穏な日々を送っていた。そんなある日また大地震が起こり、隣町の原発が制御不能におちいる。
 泰彦は息子夫婦を強引に説得して避難させるが、自分は住み慣れた家を離れることができない。やがて原発の水素爆発によって強制退去命令が下されるが・・・。
 映画はフィクションだが、福島の原発事故を被災者の立場で追体験しているような、迫真力に圧倒された。原作を読むと、園監督が何度も被災地を訪ねて取材し、オリジナル脚本を仕上げていった過程がよく分かる。「福島の映画は終わらない。まだまだ終われない」という言葉に期待する。
 (映画評論家・垣井道弘)


書名:希望の国
著者:園子温著
出版社:リトルモア
定価:1575円

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