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「『平穏死』という選択」石飛幸三著

 胃に穴を開け、管から直接水分や栄養を送り込む「胃ろう」という方法がある。誤嚥性肺炎などで「もう口から食べられない」と判断された患者に施される医療処置だ。
 胃ろうで寝返りも打てずじっとベッドに横たわったままの高齢者は40万人。そんな国は日本だけだという。この異常な状況に警鐘を鳴らし、医療の本当の役割、患者側の意識改革を訴えるのが、著者で特養ホーム常勤医師の石飛氏だ。
 ここで唱える「平穏死」とは、無理な延命治療をせずに苦痛のない最期を迎えるということ。本書で紹介されるホームでのドキュメントは、感動すら覚える。死は人の完成点であり、本人にとっても尊いものなのだと改めて感じさせてくれる。

書名:『平穏死』という選択
著者:石飛幸三
出版社:幻冬舎ルネッサンス新書
定価:880円

夕刊フジ

産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。

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