このコロナ禍がきっかけで、自分の生き方やビジネスを見直した人は多いだろう。
自分の生き方やビジネスは果たしてこれで良いのか。自分に嘘をついていないか。無理をしていないか。そして「自然体で生き、人生の目的に突き進む」という理想的な生き方への道を模索するはずだ。
そうした悩みに対して経営コンサルタントの松島修さんは「使命」の大切さを説く。『ビジネスと人生に飛躍をもたらす 使命の本質』(幻冬舎刊)は、ビジネス界の成功者たちの事例を交えながら、新しく、そして普遍的な生き方と戦略を提示する。
その核となる「使命」とは一体何なのか。ここでは経営論や自分の使命の気付き方などについて話が展開している。
(新刊JP編集部)
――本書の読者層としますと、やはりリーダー層の方なのかなと思いますが、松島さんはどのようにお考えですか?
松島:私自身はリーダーやイノベーターの方々にまず読んでいただいて、使命の大切さを理解してほしいと思っています。
実際に一部のイノベーターの方は、使命が一番大事だと気付きだしています。
「最新で最古」と書いていますが、この使命という概念は太古からあるものの、現代の人たちからすると、新しい考え方のように映ると思います。その新しい考え方を影響力のある方々が広めていく。例えば教育の中に「使命」を入れる。そうすることで本を読まない方々にも使命が浸透していくのではないかと考えています。
――使命に進むことの大切さをどういう風に伝えていけばいいのでしょうか。
松島:これまで利益重視、自己中心的だった自分に気付き、考え方を変えないといけないという認識を持って、それを周囲にも伝えてもらいたいです。
先ほども申し上げたように、今はちょうど生き方を見直すタイミングにあるわけですが、それは個人の生き方だけでなく企業の経営にも当てはまります。
――理念に基づいた「理念経営」との違いは何ですか?
松島:理念経営が使命的であればいいのですが、理念そのものが自己中心的なものだったりすることがあります。
例えば、「顧客満足」を理念に入れる企業は多いですが、顧客満足度を上げても、世の中を永続的に良い方向に変える視点が欠けていれば、使命からは遠ざかりますし、社会に良くない影響を与え、いつかは失敗する。
例えばパンの食感を柔らかくすると顧客満足度が上がるからといって、健康によくない薬剤を食品に使ったら、それは世の中を永続的に良い方向に変えていくとは反対の方向です。拝金主義に陥ります。
また、理念の言葉として、笑顔、努力、夢、誠実など言葉自体は良いけれど、具体的な目標や世の中を良くするイノベーションになっていないので自己満足的であり使命的な理念とは言えません。例えば誠実は理念ではなく社内マニュアルに書くことです。
――独りよがりの理念はNGということですね。
松島:他にも自己満足的な理念では「感謝」という言葉がよく使われます。確かに感謝は大事だけれども、世の中に良い価値を提供して感謝をされ、こちらも感謝するというのが順番です。感謝そのものが理念になっていると順番がおかしいというか、それは自己満足でしかないように感じます。つまり、使命経営とは、具体的に世の中をどのように永続的に良い方向に変革していくのかを明確にすることです。
――自分の使命に気付くためにはどうすればいいのでしょうか?
松島:一つは自分にとって最も自然体でいられることを見つけることがポイントですが、それを見つけるための要素としては、まず自分の性格を認識して、その性格の得意なことをやるというのがいいと思います。本書では性格から使命の方向を探るチェックリストを掲載しています。また「性格ドットコム」というサイトでも同じように診断ができるのでぜひやってみてください。
性格には4つのタイプがあります。「獅子タイプ(社交型、外交型)」「雄牛タイプ(目的志向型)」「人タイプ(内省型)」「鷲タイプ(鳥瞰型)」の4つで、例えば「獅子タイプ」はリーダーシップを取ったり、人前に出たりするのが得意なので、その方向に使命があり、自然体で生きることになります。
本書にも書きましたが、営業で「自由にやってきてください」と同じことを獅子タイプと雄牛タイプの人に言うと、獅子タイプの人は、「何て自由でのびのびした良い環境だ」と感激して素晴らしい成績を残しますが、雄牛タイプの人は、「何て酷い環境だ、明日、辞めてやる」ということになりかねません。それほど性格差があるのです。
自分がどういう人なのかを認識できれば、使命の方向が明確になるので、まずはそこを探るといいですね。使命はチームで達成するものなので、チームを作る上でも皆の性格タイプを知っておくことが大切です。
――人間の根本的な部分といいますか、まずは自分を知る。そう聞くと、先ほどおっしゃっていた「最新で最古」という言葉は納得がいきます。「使命」は新しい考えのように思えるけれど、実は普遍の原理であると。
松島:その通りです。
――人生にはいろいろなことが起きます。「こんなはずでは」という失敗もあると思いますが、使命に進むという生き方における「失敗」の捉え方についてはどのようにお考えですか?
松島:「使命に進んでいるから成功するはずだ」という考え方をする人がいますが、それは使命を自分の武器にしてしまうことからくる概念です。
失敗は自己中心的な考え方に陥ってしまうと生まれてくるのです。
松下幸之助さんなど、真に成功した人たちは、天に愛されているという感覚が強いです。
自分の能力を超えて、事が進むからです。
そして、「天に愛されている」の次のステップが「天とともに歩む」であり、これが使命の本質として、一番大切な概念です。
天に愛され、天とともに歩む、つまり、自分の願いや、やりたいことが天の願いと一致していくことが使命に進むことです。
使命には権威があり、使命に進むと成功するのですが、すぐに人は高慢になって貧困に堕ちることになります。使命を自分の武器にしてしまうからです。
―― 一つ伺いたいのですが、本書には使命に進むと「7つの富®」というものが拡大すると書かれています。これはどういうものなのでしょうか。
松島:一般的なイメージの「富」よりもさらに大きなもの。「資産」「才能」「知恵」「愛情(人間関係・人脈)」「環境」「自分(健康・品性)」そして、「使命」の7つから成ります。「資産」から「環境」までは使命に向かって突き進むために存在し、自分が使命に進むことで社会がより良くなっていくと、社会の一部である自分の富も拡大するということが言えます。
――「富」というとお金のイメージが強いですが、そうではないんですね。
松島:そうですね。お金も「7つの富」を構成する大切な富の一つですが、「富を拡大する」といったときに、お金を目的にするということはありません。ただ、「お金」というイメージはやはり強くて、どうしても人はお金を目的に品性を落としたり家族や人間関係を犠牲にしますが、そうすると富を傷付けることになります。
また、使命に進むために他の富があるのです。
――先ほども少しお話いただきましたが、本書をどのような方に読んでほしいとお考えですか?
松島:使命はビジネスでも人生でも一番大切なものであり、その使命の本質の全貌を、恐らく世界で初めて明文化したので、最終的には全国民そして全世界の人に読んでほしいです。
まず読んでほしいのは、イノベーター的な方ですね。そこから拡散していただければ。
その次はコロナで人生について、ビジネスのやり方について考えている人です。
本書には帝王学についても書いていますが、これは全ての人に通用することです。もちろん、子育てをしている方にも大切な話が書かれています。
実際に私が若いときにこの本を読んでいたら、自分自身、どんなに良かったかと思います。
今、私には6歳になる孫がいるのですが、孫には「あなたは愛されている存在だよ」「いるだけで価値があって素晴らしい目的を持っている」と伝えています。
――最後に、自分自身の生き方に悩んでいる皆さんにアドバイスをお願いできればと思います。
松島:「使命に進む生き方をしてください」ということになりますが、まず、「使命の本質を知ること」。そして自分の使命を知るという視点では本書に書かれた性格分析、役割分析や才能から自分を知ること。そして過去の経験から自分がどの方向に向かっているかを知ることです。まず性格分析からやってみてはいかがでしょうか。「性格ドットコム」でも簡単に確認できます。
「使命の本質を知り、自分を知り、使命に進むこと。」
これは世界があなたに対して求めていることなのです。
(了)
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