子どもが勉強が苦手だったり、同級生から何かと遅れをとっていたりすると、「もっと頑張れ」と言いたくなるのが親というもの。
もちろん、良かれと思っているのだが、成長を願う親の言葉が子どものやる気を奪ってしまうことは決して珍しいことではない。「もっと頑張れ」と言われると、子どもからすれば「今、頑張っていない」と聞こえ、承認されていない、否定されている、と思ってしまうのだ。親の言葉の選択は、子どもとその将来にとって極めて大きな影響力を持つ。
『叱りゼロ!自分で動ける子が育つ魔法の言いかえ』(田嶋英子著、青春出版社刊)では、言葉の言い換えで子どものやる気を引き出す方法を紹介する。
自己肯定感が上がると、自分のことが好きになる。すると、「やる気」も自然と芽生えてくるし、挫折にも強くなる。では、どんな言葉をかければ、子どもの自己肯定感は上がるのか。
心配するのは親の愛情ともいえるが、「心配」という言葉は、イメージする未来が前向きなものではないことを示す。
一方、「心配なんかしていない、ウチは放置です」というのも違う。「心配」の反対語は「信頼」。今までどうだったかよりも、これからどうなってほしいのか。今「心配」でも、未来は「信頼される人になる」と信じて、「信じているよ」と声を掛ける。親が子を信頼して、そのことを示す言葉をかければ、信頼される子どもが育つということだ。
また、「あんたには無理でしょ」と、子どもに対して「無理」という言葉を使ってしまう親もいる。こういう親は、子どもできる面を見るよりも、できないところに目を向けているということ。
子どもの自己肯定感を育むには、減点法式から来る「無理」という表現は適切ではない。自己肯定感は、加点方式からくる「すごい」という表現から育まれる。
テストで90点とったとき、残りの10点分のできなかったところを指摘するのではなく、90点取れたことを承認し、「100点取れたらすごいね」と100点を取れる可能性があることを子どもに伝える。減点方式の「無理」ではなく、加点方式からくる「すごい」という言葉を掛けることで、子どもの自己肯定感も上がるのだ。
「心配」や「無理」といった言葉が口癖になっていないだろうか。日頃、口にする言葉を意識して言葉を選ぶこと。叱るよりも、「きっとできる」という前向きな励ましの言葉を使う。ちょっとした言い換えで子どもの自己肯定感を育むことができるのだ。そんな言葉使いを本書から学んでみてはどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)
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