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『サザエさん』の生みの親 長谷川町子が幼少期に見せていた才能の片鱗

  • 書名 『サザエさんと長谷川町子』
  • 監修・編集・著者名工藤美代子
  • 出版社名幻冬舎

休日が終わる日曜日の夕方にテレビをつけるといつもやっているアニメ『サザエさん』。昨年、放送50周年を迎え、「世界で最も長く放送されたテレビアニメ番組」としてギネス世界記録更新。さらに今年は『サザエさん』の原作者である長谷川町子さんの生誕100周年でもある。

■『サザエさん』の生みの親 長谷川町子が幼少期に見せていた才能の片鱗

『サザエさんと長谷川町子』(工藤美代子著、幻冬舎刊)では、『サザエさん』出版を家業として姉妹社を立ち上げた長谷川家の三姉妹の人生の光と闇を綴る。

町子さんは大正9年佐賀県生まれ。
漫画家デビューは早く、15歳ですでに天才少女として世に持て囃された。それから72歳で亡くなる5年前まで漫画を描き続けた。

当時は女性が職業を持つことすら珍しい時代であり、漫画家として活躍する女性は前例がなかったようだ。女性漫画家のパイオニアとして新天地を切り拓き、没後30年近く経た今も、町子さんのサザエさんは不動の人気を誇る。

そんな彼女はどのような子供時代を過ごし、どんな絵を描いていたのか。町子さん自身、2、3歳くらいから大量に絵を描いていたと語り、小学校1年性の時には同級生に、かんざしから手の指の1本1本の細部まできれいにきちんと描かれた花嫁の絵を描いていたという。

また、町子さんと小学校から女学校まで同級だった親友は「長谷川さんは、ちょっとそそっかしくてお転婆さん。少しわがままで茶目っ気たっぷり」と町子さんのことを表現する。

教室では教科書を立てて置き、そのかげで授業をしている先生の似顔絵を描いていた。先生に見つかると怒られ、廊下に立たさる。そんな仕打ちを受けて悔しい町子さんは、うっぷん晴らしに先生の癖を漫画に描く。それを他の児童に回して見せていたという。

絵を描き、お転婆な少女時代を過ごした町子さんは、この頃から後に人気漫画家となる片鱗を見せていたようだ。

新型コロナウィルスの影響で『サザエさん』の新作は1ヶ月休止していたが、6月19日から新作の放送も再開。国民的漫画であるこの作品は広く知られていても、長谷川町子さんとその家族の一生はあまり知られていないかもしれない。彼女がどんな激動の人生を歩んだのか、を知れば『サザエさん』を今よりもっと楽しめるのではないだろうか。

(T・N/新刊J P編集部)

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