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コロナ経済危機に備えよ 使える制度は使い倒す生活防衛のすすめ

  • 書名 『コロナのお金110番 会社と個人のお金、こうやって守れ!』
  • 監修・編集・著者名八木宏之著、田中健一監修
  • 出版社名アスコム

■これからコロナ経済危機が襲ってくる

非常事態宣言は一旦解除されましたが、第2波、第3波のコロナウイルスが襲ってくるのではないか、と言われています。そして、さらに危惧されているのは、ちょうどその時期に「コロナ経済危機」が襲ってくるのではないか、とみられていることです。

コロナウイルスに感染することは避けられたものの、「コロナ経済危機」で生活が立ちゆかなくなり、亡くなる人が、これから一定数出てしまうのかもしれません。

コロナの影響で倒産した企業は、すでに全国で200社になりました(帝国データバンク調べ)。破産などの法的手続きをとって倒産した企業は、6月1日午後時点で134社。また、事業を停止して法的整理の準備に入った企業も66社にのぼり、合計で200社がコロナ関係で倒産しました。

業種別では、ホテルや旅館が39社、居酒屋やレストランなどの飲食店が24社、婦人服や靴、雑貨などが16社になっています。コロナ関係で倒産する企業の数は、100社に達するまで2か月でしたが、200社に達するのは1か月ほどになっており、6月、7月にはさらに増えると予想されています。

これまでに1万社以上の中小企業の相談に応じてきた企業再生コンサルタントの八木宏之氏は、

「現在の状況は、バブル崩壊時とすごく似ているので、大変心配」

と言います。

1990年代当時は、バブル崩壊の不良債権処理が終わらず、経済危機の影響が続いていました。倒産が相次ぎ、日本の自殺者が年間3万人を超えたのはこの時期です。月末の支払いが迫った時期になると、進退窮まって命を絶ってしまう経営者が多くいたのです。

とくに中小企業の経営者は、金融機関からの借り入れに個人保証をしていて、事業に失敗したら自宅も財産も何もかも担保として取られてしまい、再起するきっかけすらつかめない状態でした。八木氏は、

「事業に一度失敗したら、死ななければいけないなんて絶対におかしい。お金の問題で死ぬ人をなくしたい」

という強い思いで、企業再生コンサルタント会社を立ち上げました。そんな八木氏の著書、『コロナのお金110番 会社と個人のお金、こうやって守れ!』(アスコム刊)では、八木氏がいままで使ってきたノウハウ、コロナ危機を乗り切る合法的裏ワザを解説。最近の銀行員でもなかなか知らない知識をつかった交渉術などについても書かれています。

■あなたに当てはまる支援策は?

本書には、政府や自治体などによる、給付金、助成金、無利子・無担保・長期据え置きの貸付(融資)制度、住宅ローン返済の猶予、税金や公共料金の支払い猶予など、お金をめぐるさまざまな支援策が載っています。
せっかくの支援策ですが、内容がお役所言葉でわかりづらかったり、情報があちこちに載っていて自分はどれに当てはまるのか、どこに申請をすればいいのかわからなかったりして、申請をためらったり、窓口で断られてココロが折れてしまう人が多いのが現状です。八木氏は、

「申請をためらってはいけません。本書に載っている支援策を大いに参考にし、使えるものは目一杯使い、自分や家族、会社や従業員を守ってください。時間が勝負です。急いでください」

と言います。

■最大200万円、返済不要の給付金の支給は始まっている!

第1章では、中小企業向け、第2章は、個人事業主、会社員、派遣社員、契約社員、パート、アルバイト、学生向け、第3章は、すべての人向けの内容になっています。この本に載っている支援策をひとつご紹介します。

中小企業、個人事業主向けに「持続化給付金」という制度があります。すでに申請した人もいるでしょう。

中小企業には上限200万円、個人事業主には上限100万円が現金で給付されます。支給されるまで基本的に2週間です。この給付金は、会社だけでなく、医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など、会社以外の法人も幅広く対象となります。しかも、事業全般に広く使うことができ、返済する必要がありません。

給付の条件は、2020年1月〜12月のいずれかのひと月(自由に選べます)に、売り上げが直前の事業年度の同月に比べて50%以上減少していること。

給付額=前年の総売り上げ(事業収入)−(前年同月比50%の売り上げ×12か月)です。

この支援以外にも、企業、個人事業主向けに、ほかにもたくさんの支援策や、さまざまな対策が載っています。中小企業経営者向けの内容になっている第1章では、
・金融機関もほとんど知らない裏ワザは?
・業種別(飲食業、製造業、卸売業、小売業など)に受けられる支援は?
・資金繰り対策、申請方法、申請書類など
・融資を受けられるまでの間、どうやってしのげばいい?
・金融機関とどう交渉すればいい?
・債権回収会社には、どう対応すればいい?
・従業員をクビにしないで守る方法は?
・家賃、ローン、納税の猶予方法は?
などの対策が書かれています。

■住宅ローンの支払いが苦しくなったら?

従業員、契約社員、派遣社員、パート、アルバイト、学生向けの内容が書かれている第3章には、休業手当のもらい方、派遣切りにあったときの相談先、解雇や雇い止めされたときにどうすればよいか、など様々な対応方法もまとまっています。

たとえば、
・会社が休業手当を払ってくれないときの対応とは?
・不当な解雇などの対応方法は?
・解雇や雇い止めになってしまったときの対応は?
・自宅の住宅ローンの支払い猶予について、金融機関との交渉の仕方は?
・住宅ローンを支払えなくなったときは、どうすればいい? 自宅を守る方法は?
・全国民に支払われる10万円を借金取りに取られない方法とは?
・生活費が足りなくなりそう...。どうすればいい?
・学費が払えない時の対応は?
・パートでも有給休暇があります!

など。社会的立場が弱い人こそ、公的な支援について知識を持って、活用していくべき。自身の生活を維持していくために、使えるものはなんでも使いましょう。

コロナ禍で生活や仕事が立ち行かなくなっているあらゆる人にとって、本書の内容は大きな救いとなり、武器となるはずです。

(新刊JP編集部)

・『コロナのお金110番 会社と個人のお金、こうやって守れ!』公式サイト http://www.okane110.net

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